ミャンマー国軍における市民の虐殺・拘禁が続いています。先日お伝えした通り、多くの市民社会組織が賛同し日本政府に対しミャンマー市民の人権を守るためのアクションを求める共同声明を発出しました。しかし日本政府の「情勢の変化をみながらミャンマーの民主化を支える方法を検討していく」という姿勢に変化はありません。

4月2日、衆議院議員会館で「日本政府に訴える在日ミャンマー人の声」と題した緊急院内集会が開催されました。ミャンマーの民主化を支援する議員連盟、在日ミャンマー市民協会、ヒューマンライツ・ナウの主催で、ホールがいっぱいになるほどの参加者が集まりました。

ジャーナリストの堀潤さんの司会で集会が始まり、最初に、超党派の議員連盟から、昨年11月の総選挙で国会議員に選出された議員からなる「連邦議会代表委員会(Committee Representing Pyidaungsu Hluttaw, CRPH)とのzoom会議の様子について共有がありました。CRPHとの共同声明文も採択される予定で、その主なポイントは、日本政府に対し、①ミャンマー国軍の利益となる支援を即時停止すること、②民主的選挙で選ばれた国民の代表であるCRPHとの対話を始めること、③水や食料、日用品など人道支援を実施すること、を求めるものです。

議員連盟からの報告

議員連盟からの報告

その後、堀さんが制作・上映する映画の一部として、ミャンマーの市民から届けられた映像が紹介されました。堀さん曰く「私たちがテレビなどで目にする映像は一部に過ぎず、『残虐すぎる』という理由で放送されないものがたくさんあります。youtubeなどのSNSでも多くの投稿が削除されてしまっているのです」

現地の映像の紹介

現地の映像の紹介

そして、東京外国語大学のビルマ語専攻の学生たちが集めた7万筆以上の署名、約300の市民社会組織が賛同した共同声明などが外務省担当者に手渡されました。

共同声明を手渡すJANICの若林事務局長

共同声明を手渡すJANICの若林事務局長

集会に先駆けてヒューマンライツ・ナウと在日ミャンマー市民協会が日本政府へ提出した公開質問状の内容に対し、外務省と法務局の担当者が回答したのですが、「個別の事案、具体的な内容については回答を差し控える」「事態の推移と関係国の動向を注視しつつ、何が効果的か検討する」と述べるにとどまり、具体的なアクションにつながるような言及はほとんどありませんでした。

公開質問状に対する回答を述べる外務省担当者

公開質問状に対する回答を述べる外務省担当者

これに対し、数人の在日ミャンマー人が「日本に期待しているのに」と悔しさを滲ませながらコメントしました。「とても残念。日本政府は国軍と民主的な代表者のどちら側にたつのか、はっきりしてください」「私たちは妥協するつもりはない。今、市民不服従運動の先頭に立つZ世代がいつかミャンマーをけん引することになる。こんな状況では、将来日本とミャンマーの外交関係が失われてしまいますよ」「2011年の民政移行以来、日本はODAを増やし400以上の日系企業が進出している。ミャンマーを『最後のフロンティア』と呼んでやってきたのは、国軍と仕事をしたいからですか。ミャンマーの民主化を応援するためじゃなかったのですか」

在日ミャンマー市民協会のメンバーのコメントを聴いていた聴衆が一斉に抵抗運動のサインである3本指を立てるポーズ

在日ミャンマー市民協会のメンバーのコメントを聴いていた聴衆が一斉に抵抗運動のサインである3本指を立てるポーズで意思を示した

日本政府に対するミャンマーの人々の痛切な叫びが、そのまま日本人一人ひとりにぶつけられているのだと感じました。今、私たちの行動が求められているのです。

事務局長 小松豊明

<参考>

■CRPHのウェブサイト:https://crphmyanmar.org/

■「軍事クーデタに反対する在日ミャンマー人非暴力活動委員会」Facebookページ

■共同声明内容(JANICウェブサイト):https://www.janic.org/blog/2021/03/19/jointstatement_0318/