みなさま
明けましておめでとうございます。
私が現在赴任しているネパール事務所は、日本よりも一足早く仕事始めとなりました。といっても、こちらではヴィクラム暦(4月中旬から新年)が一般的に使われるので、至って普通の日々が過ぎています。
昨年、シャプラニールは「貧困のない社会」を目指した5カ年の中期ビジョンを策定、これに基づいて各地での活動を進めています。この中期ビジョンでは、シャプラニールが目指す社会、大切にする価値観を明文化し、
「シャプラニールが何をする団体なのか」、内外で共通通認識を作ることに主眼を置いています。改めて主なポイントをご紹介します。

<5つの価値観>
私たちがこれまで大切にしてきた、またこれからも重要となる価値観が5つあります。
1.「援助」をしない
支援者側の思い込みによって、お金やサービスを提供するだけでは問題は解決ししません。常に、問題の構造や原因を分析し根本的な解決方法を考えます。

2.自らの解決を促す
問題を抱えた当事者が主体となって、自らが問題を解決するプロセスを大切にします。

3.みんなで考える
地域や社会全体が変わらなければ、根本的な課題解決はできません。問題を抱えた当事者の周辺への働きかけを重視します。

4.現場から学ぶ
現場のリアリティとかい離しないよう、現場から得られる現実的な視点をもって社会へ発信していきます。また、日本に暮らす私たちが、海外の現場から学ぶことも多くあります。

5.誰も取り残さない
様々な制度や支援から取り残されてしまう人びとや課題に注目し、優先して取り組みます。

これらは当たり前のことではありますが、常に意識していないと忘れてしまう、あるいは見落としてしまいかねません。

 

<活動の柱>

上記の5つの価値観を大切にしながら、貧困のない社会を目指し、主に3つの分野で活動を進めます。

1.子どもの権利を守る

経済的な貧困、地理的あるいは身分制度による格差など、様々な要因により本来持っている権利を享受できない子どもたちが多くいます。貧困の連鎖を断ち切るために、児童労働や教育格差の問題に取り組みます。

2.災害に強い地域をつくる

自然災害は、社会開発の成果を一瞬にして無にしてしまうほどの影響を与えます。災害の発生を止めることはできませんが、被害を最小限に食い止める努力が必要です。住民と共に、災害に強い地域づくりを進めます。

3.フェアトレードを通じて共生できる社会をつくる

クラフトリンクの活動を通じて、生産者やその家族の生活向上を図るとともに、主な生産者である女性たちのエンパワメントを進めます。同時に、日本と現地の市民がつながり、搾取や差別のない「共生」できる社会を目指します。

(全文は以下PDFでご覧いただけます)
https://shaplaneer.org/wp/wp-content/uploads/2016/01/vision2016.pdf

 

 

2015年に合意されたSDGs(持続可能な開発目標)やSFDRR(仙台防災枠組)など、国際的な動きとの連動しながら私たちの活動を進めていかなければなりません。また、日本でも貧困問題が深刻化し、災害も多発する現状の中、日本と現地のつながりということも意識しています。私たちNGOだけで社会課題を解決できるはずはもちろんなく、他セクターとの連携も必要となります。

こうした様々な視点を持ちながら、私たちの活動が各地域の人々にとって意義あるものになるよう、さらなる努力を重ねていきたいと考えています。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

チトワンの子どもたち

チトワンの子どもたち

ポカラにて。ヒマラヤ山脈をバックに。

ポカラにて。ヒマラヤ山脈をバックに。