全国20カ所にある「地域連絡会」は、シャプラニールの会員が中心となって活動しているボランティア組織です。そのひとつ、東京都西東京市にある「シャプラニールむさしの連絡会」の皆さんが、イスラム教文化についてお伝えするオンラインイベントを開催しました。今回は「ラマダン(断食月)」がテーマです。


むさしの連絡会では5月5日に5名のインドネシア技能実習生の食卓と20名の参加者をつなぎ、共に一日の断食明けを体験してみるという、オンラインならではのイベント「ラマダンの台所から」を開催しました。

どれも美味しそうなインドネシアのお料理。

どれも美味しそうなインドネシアのお料理。

地域に住んでいる外国人労働者の方は、4月中旬から始まった断食月をどのように過ごしているのでしょうか。

ラマダンの期間、実習生の一人ロヒルさんの一日は、午前2時に起床することから始まります。朝食を用意して、午前3時までに食べ終わり、断食に入ります。6時から仕事の準備にかかり、7時には現場に出発します。午後5時過ぎに仕事を終えて寮に戻ると、食事の準備をします。午後6時半ごろに断食明けとなり、皆で食事をした後、お祈りをしたり、コーラン(イスラム教の聖典)を読んだりして、就寝するとのことです。午前3時から午後6時半まで飲食をせずに現場労働に就くのはハードだろうと想像されますが、本人は「もう慣れているから大丈夫」と笑顔で話してくれます。

お祈りの様子

お祈りの様子

イベント当日の断食明け時刻は午後6時31分です。一日の断食が明けると、実習生のみなさんはまず、フルーツなどの甘いものを摂ります。その後、すぐに礼拝が始まりました。イマム(イスラムの指導者)役のモハマドさんの美しく澄んだお祈りの声がzoom越しに響き、参加者の方たちは、「胸が熱くなった」「思わず画面に見入ってしまった」と感動された様子でした。

そのあとは、3つのグループにわかれ、実習生を囲んでおしゃべりタイム。画面越しに、この日の断食明けの料理、ソトアヤム(鶏肉のスープ)、揚げテンペなど美味しそうな品々が次々と紹介されると、参加者の方々は興味津々です。ラマダンについて多くの質問があり、実習生の方たちは勉強中の日本語を駆使して、一生懸命答えてくれました。

イベント終了後、参加者の方たちからは、「断食明けをリアルに体験して(新年を迎える)ワクワク感を共有できた」、「多文化共生と言葉では言っていたけれど、実際に働く人に出会ってみて初めて心で感じることができた」、などうれしい感想をいただいています。
断食の目的の一つに、お金がなくて、満足に食べられない人たちと同じ状況を感じてみる、ということがあるそうです。私たちも日本で働く外国人労働者の方たちと知り合う機会を大切にできたらいいな、と感じたイベントでした。

イベント参加者と。ご参加ありがとうござました。

イベント参加者と。ご参加ありがとうござました。

むさしの連絡会 横田