先週一週間、会議出席のためダッカに滞在した。海外活動の戦略をつくるため朝から晩まで会議づめ。持参したコンピューターが、ダッカ事務所のインターネットと相性が悪くほとんどつながらず、帰りの飛行機が遅延すること24時間、いつになく(精神的に)ハードな出張となった。帰りのトラブルはさておいて、行きのカトマンズ空港で見たことを書いてみたい。

ダッカに行くときはいつもバングラデシュのビマン航空に乗るのだが、数少ない機体が故障してフライトの遅延が恒常化しているため、バングラデシュの民間会社GMGを利用することにした。利用客は一体どのくらい居るのだろうと思いつつ空港に来たが、待合室は結構な混み具合。

昨年12月にダッカに出張した時にはダッカ経由で中東へ出稼ぎに行くと思しき男性が圧倒的だったが、今回はちょっと様子が違う。子どもを連れたネパール人女性がとにかく沢山いる。しかも、お互いが顔見知りのようで「あら!」「こんにちは」というような会話を交わしている。服装もTシャツにジーンズなどの比較的自由な服装で、少なくともイスラム教国バングラデシュで降りるのではなさそうである。

ネパール女性も少ないながら出稼ぎに行っているというのは聞いたことがある。しかし子連れ?そんなに寛容な働き先というのもなさそうだし、年老いた両親らしき人を連れた女性もいるのでますます混乱する。ここで聞かずにいたら後悔するし、思い切って聞いちゃえ、ということで隣に座っていた女性に声をかけた。

「すみません、どちらまで行くんですか?」

「香港です」

「仕事をしているのですか?」

「いえ、家族で住んでいます。いつもはネパール航空を使うのですが、最近運行していないのでダッカ経由を初めて使います。*ダッカは暑いですか?ダッカの空港でネパールルピーは使えるかしら?待ち時間が長いので子どもに何か食べさせるようなものは買える?**」

なーるほど。疑問が解けて、私もこれで心置きなく飛行機に乗れる。

ダッカの空港に到着すると、乗り継ぎ組は一ヶ所に固まっていた。2,30人くらいはいただろう。皆、深夜発ドラゴンエアを待って移動するのだ。もとイギリス領だった香港には、結構大きなネパール人コミュニティがあると聞いたことがある。イギリス傭兵として働いていたネパール人にはビザの取りやすいのかもしれない。彼女たちの多くはチベット系の顔つきをしていることからもそんな想像をしてしまった。ネパール語、中国語、英語で教える学校も1つあるのだそうだ。香港には2度ほど行ったことがあるが、次はネパールコミュニティを訪ねて旅するのもおもしろいかもしれない。

*ネパール航空もビマン航空と同じ理由でしばらく運航を休止しているため。

**私がダッカに滞在すると知った彼女から、この後質問ぜめにあう。