このところネパールNGOを集中的に訪問している。先週から今週にかけて8つの団体を訪問した。それぞれ住民参加型農村開発、平和構築、ジェンダーなど特徴のある活動をしているところばかりで、代表者に会って話を聞くのが楽しみだ。

訪問した中でも女性のエンパワーメントのために活動しているTEWA(テワ)には強い印象を受けた。農村の女性グループに小額ながら活動資金を直接提供したり、紛争のためにカトマンズなどの都市へ避難してきた女性の自立のための研修や就業機会を提供している。

しかし何よりもTEWAのユニークな点は、極力外部資金に頼らないという方針を持っている点だ。自己資金獲得のための収入事業の内容は多岐にわたる。ネパール国内で支援者を募ったり、ラッフルドロウ、セミナーを開催したり、それに加えて各企画にボランティアが大きく関わっていると聞く。

そのTEWAがカトマンズ随一の映画館を借り切って映画鑑賞会をやるということで、行くことにした。上映されるのはFaana、人気俳優アミール・カーンとカジョール主演で、ネパールの新聞を数ヶ月前から賑わせていた映画だ。

新聞広告.jpg小さいけれど大注目のFaana

「チケット代はすべてTEWAに寄付されます」と書かれているチケットの値段は500ルピー(約850円)。通常150ルピー前後で映画を見ることができることを考えるとかなり高額だ。果たしてどんな人たちが集まっているのか、ますます興味が募る。知り合いの紹介で、JICAで働くネパール人スタッフラクシュミさんと連れ立って行った。

映画館には6時少し前に到着。思ったより人が少ない。しかしラクシュミさんはそこかしこに知り合いを見つけて挨拶に忙しい。開演時間が近づくにつれ、人が増えてきた。車で来る人もかなりいる。しかも、結構高級車が多かった。ラクシュミさんいわくNGOなどで働く人やビジネス関係者が多かったということだ。

上映を待つ人々.jpg       映画といえばポップコーン.jpg

映画館の外で待つ人々              やっぱりポップコーンだよ(とラクシュミさんの友人)

インドの映画は2時間以上になるものがほとんどなので、小腹を満たすためにスナック類を買い着席。何本かの予告編が流れやっと映画が始まった。かつてデリーで一度だけ映画館で映画を見たことがあり、映画が盛り上がるにつれ観客が歌い踊りだす様子は映画を見るよりおもしろかったので、今回もかなり期待していたのだが、残念ながら全く違った。ハイソな方たちが多いせいか、とてもお行儀がよろしいのだ。主役であるアミール・カーンが登場しても歓声一つ聞かれない。子役の演技に「まー、可愛いわね」的なクスクス笑いがあったのが唯一反応らしい反応だった。映画は美しく悲しいラブストーリー、個人的には”Dil Se…”の方が好きですが。

さて、肝心の来場者数だが、TEWA関係者の話では200名くらい来ていたのではないかということ。もっと一般の人が払えるような値段に近づけて、日ごろ関心のない人にも参加してもらえる場になればもっと良いと感じるが、それでも200人集めたTEWAの実力には敬意を持った。いかに日本の社会に支援者を増やしていくか、「市民による海外協力」を掲げるシャプラニールもTEWAに負けてはいられない。

2006年5月27日