「大きくなったねえ!」

私が以前、ご近所の方に言われた言葉です。彼は東南アジア出身の方で、私の家のとなりのとなりに住んでいます。24年間ご近所さんとして住んでいて、ほんの挨拶程度の顔見知り。それにもかからず、「こんなに小さかったのにね〜」と、彼は私の子ども時代を覚えてくれていました。私はほんの少し気恥ずかさもありながら、自分のことをきちんと見ていてくれたということに驚きました。一方で、私は、彼のように日本で生活している外国人の方のことをどれだけ知っているだろうか…?と考えました。

法務省によると、令和4年6月末時点での日本に住む外国人の数は、296万1,969人。前年末に比べて20万1,334人増加しています。私たちの日常生活の中でも、外国の人と接する機会が増えてきています。例えば、コンビニやスーパーの店員さん、介護施設、飲食店や工場など、私たちの生活は多様な場面で外国人の方々に支えられています。

しかし、実際に彼らが生まれた国と異なる文化や言葉の中で、どのように生活しているかはあまりよく知られていません。

日本に住んでいる外国人の方についてもっと理解したい。

そんな思いから、今回のブログでは、在住外国人との繋がりを描いた映画作品を2つ紹介します。

1.伊坂幸太郎原作の映画『アヒルと鴨のコインロッカー』
主人公は大学入学と同時に引っ越してきた椎名。風変わりな隣人、河崎に「本屋を襲わないか」と提案されます。同じアパートにはブータン人留学生がいて、河崎はブータン人のために広辞苑を贈りたいと言います。そんな奇妙な話に乗ってしまう椎名と、彼を巡る不思議なお話です。

2.山田洋司監督の映画『学校』
第17回日本アカデミー賞の最優秀作品にも選ばれた名作です。夜間中学を舞台に、様々な困難や苦労を乗り越えていく生徒と教師。在日韓国人の高齢女性、中国から移住してきた青年、家庭に問題を抱える少女、働いている青年、元不登校の少女など、国や文化を超えた、深い絆が描かれています。

これらの作品を通じて、言葉や文化の違いに関係なく人々が交流しお互いを理解しようと努力する姿に感動しました。そして、鑑賞後、街に出ると、さまざまな言語が聞こえてくることに気がつきました。自分自身が、これまで以上に在住外国人の方々に興味を持つようになっていたのです。
今回映画を見たことで、自分がその立場だったらどうするだろうと、想像力が膨らみ、視野が広がりました。機会があればぜひ、みなさんもご覧になってみてください。

在住外国人の方が取り残されない社会をつくるために

在住外国人の方々も、生活を支えている私たちと同じ社会の一員です。そのような方々が、文化や言語の違いによって日本社会で孤立したり、必要な支援を受けられないような状況をなくすために。シャプラニールでは、生活相談、居場所作り、交流の場を広げるために活動を続けています。2023年5月15日(月)まで、この活動の資金を集めるためのクラウドファンディングを実施しています。ぜひ応援していただければ幸いです。詳細は以下をご覧ください。

ただいまクラウドファンディング挑戦中!

今後、さらに、日本で暮らす外国人の方の交流の場・居場所づくりと生活支援を強化したいと考えており、無料食料配布「フードパントリー」での生活相談会の継続実施や、地域の交流スペース開設に向け、クラウドファンディングサイト「For Good」を通じて、ご協力を呼びかけることになりました。 皆さまのお力を貸しください。

最後に

今日も、私のとなりのとなりで暮らしている東南アジアからきたご近所さん。日々の挨拶に加えて、「最近は暖かくなってきましたね」と、その一言、ほんの少しの行動が、国籍を飛び超えて、私たちの距離を縮めてくれるかもしれません。

コミュニケーショングループインターン 黒瀬夏子