Who is SHE?
「モノ」に「ヒト」が宿るノクシカタ
こんにちは、クラフトリンク担当の小川です。夏のカタログより、ノクシカタモチーフを用いた商品の再販を開始しました!今回はそんなノクシカタ商品がつくられている、バングラデシュの村を訪問したときのお話をお伝えします。
※ノクシカタとは:バングラデシュの母から娘へ伝わる伝統の手刺しゅう。ベンガル語で「ノクシ」はデザイン、「カタ」は布を意味し、動植物などのモチーフはそれぞれ意味を持っている。

「ノクシカタ」生産者を訪ねてダッカから北に車で約6時間。2023年、初めてジャマルプールを訪れた時、色とりどりのサリーに身を包んだ女性たちと、思わず息をのむような美しい農村の風景に一瞬で心を奪われました。私たちの新しいパートナー団体「Palli Crafts(ポリ・クラフト)」は「工芸の村」という意味です。元アーロンのスタッフであったアズマさんとシャハナズさんが立ち上げ、国際フェアトレード機関(WFTO)の認証を取得。まだ駆け出しの小さな団体ですが、積立金制度や健康診断など少しずつ生産者の福利厚生の充実を図っています。
今回お会いしたのは生産者の一人、リピ・アクタールさんをご紹介します。以前はダッカで縫製工場に勤めていましたが、子どもが産まれ1日14時間の長時間労働ができなくなり、夫の故郷である村に家族で移ってきたとのこと。”農村部で家族と暮らしながら家事の合間に仕事ができること”はこれからの手しごとの役割の一つなのかもしれない、と感じるお話を聞くことができました。

お話を伺った先で、女性たちが自信の母が着ていたという思い出の詰まったサリーで縫った「カタ」(刺し子の布)を見せてくれました。どの家庭でもとても大事にされています。人の手で一針ひと針刺していく、そこには大切な人への想いが宿っていると感じます。

私たちが突き進む機械化の時代に、「手間をかけること」「人間らしさ」といった価値を表しているのではないでしょうか。

「クラフトリンク オンラインショップ」ではノクシカタや刺し子の商品をご覧いただけます!
会報「南の風」306号掲載(2025年6月発行)
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