人気商品「太陽とヒマラヤの恵み ハニープロセス珈琲」が育まれるシャンジャ郡は、ネパールの第二の都市ポカラから南西に車で2時間半ほど走ったところにあります。段々畑の美しい農村風景が広がる中山間地で、日本人の池島英総さんと一緒にファーマーズ・パッション農園を運営するボッダ・ラジ・アリアルさん(通称ボダラズさん)を訪ねました。(2023年9月)

小川職員(左)、ボダラズさん(右)

日本とネパールを結ぶコーヒー栽培

農園では、アグロフォレストリー農法(※)でコーヒーの木のほか、みかん、唐辛子、レモングラス、生姜などを一緒に育てています。シャンジャ郡はみかんの栽培で生計を立てていた農家がもともと多いそうです。

日本で農業を勉強したボダラズさんは流暢な秋田弁も交えながら、「コーヒーが日本で売れるようになったおかげで収入が増えました。今はつくればつくるだけ日本に売れていると感じています。収穫期には多くの手作業を必要とする豆の選定など、簡単で参加しやすい仕事を村の人々に生み出すことができています。“良いものをつくって、良い値段で売る”ことを実践しているのでほかの人も真似して植えようという気になり、コーヒー栽培が広がっています」と話してくれました。

コーヒーの木の苗床。ボダラズさんが育てて生産組合の農家に無料で配る

ボダラズさんの現在の目標は、高品質なスペシャリティコーヒーを栽培することです。現在、息子のウビットさんは日本とネパールを行き来しながらこれからのコーヒーづくりの可能性を探っています。

※アグロフォレストリ―農法…樹木の間で農作物や家畜を植物間や生態系の相互作用によって育てる、環境保護と経済性の両立を目指す農法。

飼っている水牛の排泄物がオーガニックの肥料になる

地域で広がるコーヒー栽培の担い手

ネパール政府は、注力すべき輸出産品の一つとしてコーヒーを推奨し苗を育てるための補助金を出すようになり、郡の生産組合も地域全体でコーヒーの栽培に取り組んでいます。ファーマーズ・パッション農園は、日本へ美味しいコーヒーを届けるために技術指導をほかの農家にも行っています。

生産農家の一人、ディーバック・ラミチャネさんは、農薬を使わない虫害や病気対策をボダラズさんから教わってからコーヒー生産量が上がっていると言います。7歳と9歳の子どもたちも楽しんでお手伝いをしてくれているそうです。

(中央)ディーバックさん、(右)ボタラズさん

自然豊かな農園をながめながら

首都カトマンズのシャプラニール事務所周辺にもカフェがたくさんオープンしており、ネパール国内でも着実にコーヒー文化が広がりつつあると同時に、日本でもネパール産コーヒーの取り扱いが増えてきています。多くの農村の若者が海外へ出稼ぎに行く中で、地元での仕事に対する夢や目標を語る生産者たちはとても頼もしく、コーヒー栽培が農村に明るい変化をもたらしていると実感しました。

シャンジャ郡 標高900m地点からの風景。棚田が広がる。

報告/小川晶子(市民アクション推進グループ)
会報「南の風」302号掲載(2023年12月発行)