2月の中旬、東中野にあるポレポレ坐ビルの小さなギャラリーで、ノクシカタの展示・販売会を開催しました。ノクシカタとは、バングラデシュの手刺しゅうのことで、わたしたちもフェアトレードの大切な商品として長年取り扱ってきました。パートナー団体アーロンの輸出停止の決断により数年の販売停止を経て、2025年に販売再開。それを機にノクシカタの魅力、ノクシカタを通したバングラデシュの文化や、作り手について、引いてはシャプラニールの活動を知っていただくために展示会を企画したものです。 ※展示会概要はこちら



こうした展示会の開催は、シャプラニールとしてはおそらく15年ぶり、担当としては初だったため、準備中はどれだけ興味をもっていただけるか、広く情報を届けられるかという不安がありました。しかし蓋を開けてみれば、展示会は称賛の声を集め5日間の開催で、のべ328名の方にご来場いただきました。「手しごと」や「刺しゅう」「南アジア」が好きな多くの方が狭い会場を満たしてくれた空気はとてもあたたかく、開催できた喜びを心から感じています。
昨今は、インターネット配信の多様化があり、オンラインイベントが主流になり、人がフィジカルに集う場、体感する場が少なくなっています。その中で「手刺しゅう」という 時代に逆らうような 非常にアナログなモノを通して、繋がりの機会を作れたことはクラフトリンクの名に誇れるところです。
◆ 来場者の声:
❝ノクシカタがものすごく時間と手間をかけて制作されたものだということが実感出来たとともに、その価値や文化背景などを知るよい機会になり、よかったです。展示してある作品もどれも素晴らしかった! ❞
❝実際につくっている方々の紹介や、「折々のベンガル」から地域により親しみを持つことができた ❞
❝シャプラニールのことは聞いたことはありましたが、実際の活動についてよく知らなかったので良い機会でした。ノクシカタもとても素敵で感動しました❞
ワークショップ
開催初日は、刺しゅうのワークショップから始まりました。狭い会場のために人数制限せざるを得ず、全申込者の受け入れがかなわなかったことは残念でしたが、近い距離での作業は初対面の距離感も縮めてくれました。参加者の皆さんはすぐに打ち解けてそれぞれおしゃべりしながらの針作業となりました。このちくちく時間の多幸感といったら・・・!終始、ほっぺがゆるみぱなしの本当に楽しい時間となりました。ワークショップの内容は、到底2時間という開催時間に収まりませんでしたが、勝手ながらおうちで継続して完成させていただけることを願っています。。!



◆ 参加者の声:
❝ 大きなノクシカタに囲まれてのWSにとても幸せな気持ちになりました ❞
❝ワークショップは自己紹介から始まり、とても和やかに、参加者同士もおしゃべりを楽しめました ❞
トークイベント
この展示会のハイライトでもあるトークイベントでは、福岡アジア美術館の学芸員でアジアの近現代美術や文化人類学がご専門の五十嵐理奈さんをお招きしました。また直前に、北星学園大学教授で、フェアトレードタウンさっぽろをけん引されてきた萱野先生にもお越しいただくことが決定し、非常に貴重なお二人のご登壇がかなう贅沢なイベントとなりました。
五十嵐さんからは「ノクシカタの生まれた道」として、バングラデシュの歴史的背景をお話いただくことで、ノクシカタとは何か、学術的な理解が深まり展示会にも厚みが増すことができました。萱野先生には、素晴らしい作品をお持ちいただき、私たちのコレクションとはまた違う側面からもノクシカタを眺める機会をいただきました。
<五十嵐さんのトークの一部をこちらからご覧いただけます。 (限定公開)>
「一時衰退したカンタが、どのような経緯をたどってノクシカタになったか」という 1960年代から1970年~80年代独立後の部分を切り取っている10分強の動画になっています。

そして、この展示会の大きな立役者であり花を添えてくれたのは、岩立フォークテキスタイルミュージアムからお借りした作品でした。岩立さんファンの方が多くいらっしゃることを改めて感じ、つながりの機会にもなりました。
◆ 来場者の声:
❝ トークショーの皆さまのお話しが素晴らしかったです ❞
❝ずっと眺めても決して見飽きることがない、バングラデシュの女性たちの手仕事にあらためて感動しました。岩立さんの作品の解説の中に、『外に出ることを許されなかった女性たちの思いを表現した布、身近なモチーフに挑戦した針の紋様はどんな画家にも及ばない』とあり、その言葉のひとつひとつに深く感銘を受けました。自由な世界に出ることができずとも、せいいっぱいに心の豊かさや自然の恵み、日々の営みをゆたかに表現した女性たちに敬意を表し、心からの拍手を贈りたいです。また、このような展示会を開いていただけましたら幸いです❞
❝ 知る限りでシャプラニールで初めての展示会だったが、このように作品とその作成背景を展示して頂くと、お買い物をする製品への認識が深まって良い機会になるので、ノクシカタに限らずともまたやって頂きたい ❞
トークショーでは、スペースに限りがあったため、窮屈な思いをさせてしまった方、空調が効かず寒かったという方、申し訳ありませんでした。運営の反省として、次回に活かします。

左:五十嵐理奈さん 右:萱野智篤先生
個人的な話ではありますが、ノクシカタが1つの大きなモチベーションとなって、シャプラニールに入職した私としては、宝物のような時間と、そして来場者アンケートを通じたメッセージとなりました。ご褒美です。本当に、ありがとうございます。
そして、今回の展示会では15名のボランティアの方々のご協力をいただきました。快く時間と労力を割いて動いてくださることに、改めて市民活動の良さを感じ、感謝の気持ちでいっぱいです。
今回の展示会は「ベンガル地方の豊かな手しごと」というタイトルを冠しました。今後も、わたしたちが活動する南アジアの人々が持つ魅力的で愛らしい豊かな文化を知っていただき、日本と違う文化背景の中で生活している人たちとの距離を縮め、理解促進につなげていきたいと思っています。

中央:筆者 クラフトリンク担当 小川
右:登壇者/福岡南アジア美術館 五十嵐理奈さん
クラフトリンク担当 小川
