2025年9月8日、首都カトマンズなどネパール各地で、若者たちによる、政治家の汚職や不公平な身内の優遇、4日に出されたSNS禁止令に抗議するデモが平和的に行われていました。しかしながら、議会近くの制限区域に突入しようとした一部のデモ参加者に警察が発砲するなどし、これまでに少なくとも19名の死者、400名以上の負傷者が出ていると現地のメディアは報道しています。このような形で多くの方が命を落としたことは非常に残念であり、心より哀悼の意を表します。 

8日から出されていた外出禁止令が9日に拡大され、政府がSNS禁止令を解除した後も抗議行動はネパール各地で過激化し、オリ首相をはじめ、主要な閣僚が辞任しました。その後も残念ながら一部市民の暴力は続き、主要な行政機関の建物や、政治家の自宅などが放火や襲撃の対象となり、9日夜から治安維持のため軍が全国に配備されました。日本時間9月10日17時現在、空港も閉鎖され、国際線・国内線ともに全便が停止しています。 

シャプラニールは30年前から首都カトマンズに事務所を置き、現地のNGOとともに活動を行ってきました。現在はマクワンプール郡で児童労働の予防・削減事業を、モラン郡で洪水防災事業を実施しています。現地の駐在員およびネパール人スタッフ、パートナー団体のスタッフは全員無事であることを確認しています。 

昨年のバングラデシュでの政変に続き、ネパールでも人々の溜め込んだ怒りが爆発する事態を目の当たりにし、いかに若者を含め多くの人たちがストレスを抱えていたかをあらためて実感すると同時に、暴力の応酬がこれ以上激化し、人命が奪われることのないよう、公正で安全なプロセスを経て政府、行政機能が回復し、人々が普段の生活を一日も早く取り戻せるよう願っています。 

今後も安全の確保を最優先にしながら、現地の状況の変化を注視し、よりよい社会の実現を願うネパールの人々とともに活動を続ける所存です。今後の状況と対応については随時ご報告してまいります。 

2025年9月10日 

認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会