明日、9月26日でネパール・ラスワ郡の土石流発生から1カ月。
死者1451名、安否不明者は5000名以上(2026年9月21日、ネパール政府)と、今も多くの人々が家族を亡くした悲しみ、また大切な人が見つからない不安な心の中にいます。犠牲となられた方々に哀悼の意を表し、また被災された方々に心からお見舞い申し上げます。ネパール政府は捜索救助に今も力を注いでいます。バレンドラ・シャハ首相は、ニューヨークで開かれている第81回国連総会でこの災害への支援と同時に、地球温暖化の警告としてこの災害を国際社会に訴えました。
私たち国際NGOをはじめ、多くの人道支援団体や国際機関は被災者支援を行ってきています。しかし、大規模な土石流により道路や橋といった交通網が寸断され、街ごと流されて地方行政(市村や、その下の区)の首長や行政職員を失くした地域もありました。そのため、被害の全貌と支援のニーズを把握し、また被災地まで支援を届けるアクセスがない、という問題が支援の大きな壁となりました。現在、仮設を含め道路が復旧しつつあり、食料等の物資が届き始めてはいるものの、特に遠隔地では支援が十分に行き届いていません。
9月18日、シャプラニールは現地NGOのCWINとともに、ラスワ郡ウッタルガヤ村3区で160世帯に食料品と衛生用品を配布しました。
【配布した物資】
米 20Kg
豆 5Kg
塩 2Kg
油 5ℓ
衛生用品(石けん、歯ブラシ、歯みがき粉、爪切り、生理用品、タオル等)
ウッタルガヤ村は、人口8,555人、2,188世帯が暮らす村です。土石流が流れたトリスリ川(ボテコシ川)は村の中央を流れています。今回の水害で川沿いに暮らす約500世帯を含む618戸の家屋が被害を受けました。その中で、3区(人口約1000人)は川の右岸側に位置しています。川に沿ったエリアの家屋が損壊したほか、川沿いに位置する、区外のバザール(市場、商店街)で働いていた人など31名(21世帯)が今も行方不明です。土砂に埋もれたままの家が多く、家の中で大切に保管していた金※を探そうにも、家がどこにあったのかさえ分からず途方に暮れる人もいました。町全体が今も悲しみに包まれていました。


さらに、ウッタルガヤ村の人々は普段、川の対岸にあるバザールで食料品や日用品を購入していますが、その川を渡る手段がなくなってしまい、村の中では食料品が底をつき始めていました。そこで、私たちは、区と相談し、区役所と他のNGO1団体と協力して、全世帯310世帯に物資を届けることにしました。シャプラニールは子どもがいる世帯160世帯分の物資を準備し配布しました。


村で少女(8歳、2年生)とおじいさんに会いました。話を聞くと、村を土石流が襲ったとき、少女はちょうど学校に登校したところだったそうです。校長先生が彼女を高い場所に避難させてくれましたがが、校長先生と同級生11名は流されてしまいました。彼女は他の学校の先生に連れられ一緒に安全な地域までたどり着きましたが、校舎が完全に流され、全校生徒188名のうち約100名が依然として行方不明です。少女はその現実にショックを受け、沈黙を守り、その日のことを話すことはありませんでした。

被災者の方々にとって、発災から必死で生きてきたことを思えば、もう1カ月であり、これからの暮らしを思えばまだ1カ月という思いでしょう。ネパール政府も、復旧復興のために約7200億ネパールルピーの資金が必要だと試算しています。
今後、物資配布といったその日生きるための支援から、生活再建のための支援、まちやなりわいの復興といった長期的な支援も必要になって来るでしょう。シャプラニールができることを考えていきます。
※ネパールでは、財産として金を購入して保管しておく貯蓄習慣があります。
これまでの「ネパール・ラスワ郡で発生した土石流による大規模洪水について」のレポートはこちらをご覧ください。
