カトマンズ市は今どんな問題を抱えていますか?

%e2%97%8b16_07_27_9_266一番の問題は住宅再建のための20万ルピー提供の件(※1)です。20万ルピーをもらう対象となる人は+30万ルピー(約30万円)のローンが可能です。また対象とならなかった人は、250万ルピー(約250万円)の低金利ローンが可能です。ただし、これらは震災から一年以上経った今も始まっておらず、まだ対象者の調査を始めようとしている段階です。これから雨期に入るので(※2016年7月にインタビュー)、地震でヒビなどが入った家が壊れやすくなるので心配をしています。前述の調査には45日程度かかる予定で、資金提供はそれからになります。20万ルピーの配布は4回に分けられることになっていて、設計書通り作られているかといった再建の経過観察をしながら進めていきます。ただこれに対し野党が4回ではなく2回で配布すべきだと主張し、その野党が2日前に政権をとったため、話はまた複雑になっています。そもそもカトマンズ市内では20万ルピーの資金ではレンガを再利用したとしても、家を建てることはできません。

カトマンズ市がこれから行おうとしていることについて教えてください

%e2%97%8b16_07_27_9_271カトマンズ市では、もう一度地震被害の調査を始めようとしています。一年前に地震がおきた直後、応急調査を行ったので、そのときの対象者をもう一度調査する予定です。こういった取り組みはカトマンズ市の他、ラリトプール市、ヌワコット郡、バクタプール郡、ダディン郡でも行っています。
この調査では、今後政府が行う予定の住宅再建支援(※1)の対象となる世帯かどうかの確認をします。カトマンズ市では32のチーム編成をしており、各チームのエンジニアはGPSなどを使った調査をしていきます。それ以外に政府からも2人の専門家が派遣され、住宅再建が始まったら、そのモニタリングを行っていきます。

次の災害に備えて、必要なことはなんだと思いますか?

コミュニティレベルでの活動が必要だと考えています。これから起きるかもしれない災害に備えて、地域災害管理委員会や住民組織と一緒にメンタルケアプログラムを行ったり、捜索救助のボランティアチームを編成したりする必要があると思います。
また、これまでは災害が起こると主に赤十字の組織委頼ってきましたが、こういったことは市として予算をつけて進めなければならないと考えています。新たなモニタリングシステムの開発や災害管理委員会の組織化を行い、緊急救助の用具の備え、いざという時のための資金の準備、活動の活発化などに取り組んでいこうと思っています。

※1 全壊認定された世帯に対して、政府が住宅再建費用として20万ルピー(=20万円相当)の提供を行う支援