ネパールと生活していると、ついつい財布の中身が気になる。といっても、お金が足りない!という心配とは質が違うものだ。

ネパールの紙幣は1,000、500、100、50、20、10、5、2、1ルピーの9種類、ついでに言うと硬貨は2、1ルピーがある。1ルピーが約1.8円。日本の10から20分の1程度というネパールの物価から考えると1,000、500ルピーというのはかなり高額で、使い勝手が悪い。露天や小さな商店で100ルピー以下の買い物などをしようとして、これらの高額紙幣しかないと「つり銭がない」と断られ、自分で方々の店に掛け合って細かい札を集めなくてはいけない羽目になるからである。

この前は某大使館にビザの申請に行き、300ルピー支払いのため1,000ルピーを出したらつり銭がないと断られそうになった。財布の中身を見せて「本当に細かいの持っていないのよー」と主張したら、しぶしぶ窓口の男性が受け取ってくれた。 ちゃんとお釣りは出てきたのに。

朝の出勤時は時間がないこともあってタクシーを良く利用するが、これも曲者。朝一番だと、大抵の運転手はつり銭を持っていないからだ。サービス業の何たるかを君たちは判っているのか!と怒りたくなるが、ここはネパール、ぐっとこらえて準備の悪かった自分を反省する。

しかし許せないこともある。2日前に乗ったタクシーはメーターに細工でもしたのか、普通は50ルピー程度ですむのが75ルピーにまでメーターが上がっていた。朝ということで油断したせいもあるが、事務所近くに来ており既に時遅し。仕方なく100ルピーを出すつり銭がないと言う。

こいつ確信犯だと憤慨しつつも朝からけんかをする気力もなく、言われるままに10やら5ルピーを寄せ集めたらなんとか75ルピーになったので渡した。 その中にはこれまで使えずに財布にしまいこんだままだった千切れた20ルピー札2枚をもぐりこませて。

だから今回のつり銭をめぐる攻防は私の勝ち。たまには一矢報いなきゃね。