「その①」の更新からずいぶん時間があきましたが(不思議なことに年も明けてますが)、恵泉ツアーの「その②」です。

オポロジェヨ・バングラデシュのプロジェクト現場訪問から数日を挟み、JICAのSMPPプロジェクト(Safe Motherhood Promotion Project )訪問に同行して見学させて頂きました。案内して下さったのは専門家の吉村さんと横井さん。
訪れた村はこんな様子。小さくてちょっと見えづらいですが、木登りして遊んでる子供たちの姿がほほえましい。
DSC_0006.jpg
この村では2ヶ所でSMPPのアクティビティを見学させて頂きました。まず一つ目は妊婦さんのいる家庭に対して行なっている活動。
RIMG2741.jpg
真ん中でカードの説明をしているのは、SMPPプロジェクトに参画している政府側の職員さん。カードには妊婦さんの健康上望ましいこと、そうでないことが絵でシンプルに描いてあります。
「なんで家族総出でそんな説明を受ける必要があるの?」と思われそうですが、実はバングラでは家庭の中で女性に決定権がないんですね。何をするにしても男性の判断が伴う。そこで家族みんなに対して妊婦さんの健康を保つために必要な事柄を覚えてもらっているそうです。
なるほど。勉強になります。
次に見学させて頂いたのは村の中で妊婦さんのお世話をするために組織されたグループでのミーティングの様子。基本的にボランティアベースのグループです。
RIMG2745.jpg
このプロジェクトは「CARE Bangladesh」という地元NGOとパートナーシップを結んで実施されています。上の画像で何か物を書いているふうな女性がCAREの職員さん。真ん中にあるのは「ソーシャルマップ」というもので、手書きで村の地形と、どこにどんな設備があって、妊婦さんがどこにいて、ということが書きこまれています。定期的に行なっているミーティングでは、これをベースに村の妊婦さんの様子をシェアしたり必要なお世話をしたりしているそうです。
手前右下の若い女の子2名は学生さん。ボランティアでグループに参加しており、ミーティングの書記をしています。学生さんなら文字が書けますからうってつけですね。地図の向こうに座っているサリー姿の女性たちは伝統的な産婆さん。家での出産を補助してくれる方々です。
知らなかったんですがバングラ政府は「出産は施設で」という方針を出しているそうですね。施設の産婆さんというか看護士さんはライセンス制で、6ヶ月~9ヶ月の訓練期間が必要とのこと。現在は国民に施設での出産を促す上での移行期間のような位置づけと捉えて良さそうです。その「つなぎ」のために政府がSMPP等の事業を通じて人材育成も行なっていると。
となると伝統的な産婆さんは将来的にはいなくなっていくんだろうなぁ・・・。
郡病院での活動内容も見学させて頂いたのですが、この辺りのことは見学に同行された西野さんがブログで詳しく紹介されていますので是非ご覧ください。
http://ameblo.jp/mot82yn/entry-11143636309.html

あと目からうろこだったのは、途上国における「家族計画」の本質についてです。
RIMG2748.jpg「家族計画」はしばしば「Family Welfare Program」と訳されます。
しかし実質的には「Population Control Program」なんですよね。
先進国からの支援事業は数多あれど、それらは全て出生率を下げることが前提となっていて、例えば不妊に悩む世帯へのサポートを行なっているところはないに等しい。その意味では「家族計画」じゃなくて「人口計画」と訳した方が適切かもしれない。
もちろん人口増加率の抑制は国家運営的視点からは重要だと思いますが、その影で悩みを抱えたまま取り残された人たちがいることも、忘れてはいけないと思いました。