ニューオーリンズに接近中のハリケーン「グスタフ」のニュースが日本でも大きくとりあげられているようですが、こちらインド亜大陸は洪水の季節。インドでは広い範囲で人々が洪水の被害を受け、約300万人が移住を余儀なくされているということです。中でもインドでもっとも貧しい州のひとつといわれるビハール州では50年に一度という大洪水に見舞われています。インドではガンジス川の水も危険水位を超え、あちこちで氾濫中。そうなると下流にあるバングラデシュも当然影響を受けます。

29日にポッダ(ガンジス)川をフェリーで渡って南西部のボリシャルに行き、昨日また川を渡ってダッカに帰ってきたのですが、行きの水位より帰りの水位のほうが明らかに上昇しているのが見てわかりました。ポッダ川のダッカ寄りの河畔であるマニックゴンジ県あたりでは、もう相当水が溢れており、ダッカ-アリチャロードの両側も道路の際までひたひたと水が押し寄せていました。緊急救援を検討しなければならないような洪水になるかどうかは、ここ数日の状況次第で見当がつくでしょう。

程度が過ぎると大変なことになる洪水ですが、ある程度まではバングラデシュの人々は「いつものこと」で慣れています。一面水浸しになった野の上を小舟で行き来したり、胸まで水に浸かりながら腐らせたジュートの茎から繊維を取り出す作業をしたりする人々の表情はまだゆったりしていました。とくにジュートの栽培をする人々にとっては、水の量が少なければ少ないでこれもまた困ります。収穫したジュートを浸して腐らせたり、それを洗って繊維を取り出したりする仕事はたっぷりした水がなければできないからです。

北部のクリグラム、ガイバンダあたりではアモンと呼ばれるこの季節に栽培される米がかなり水にやられてしまい、被害が深刻になりつつあるようで、北部のNGOから被害報告が届き始めています。ブラフマプトラ川やガンジス川の上流からひたひたと押し寄せてくる水。今年はほどほどのところで留まってくれるといいのですが...。