「ダッカで家事使用人として働く少女支援事業」のプログラムのひとつ、少女たちのためのお料理教室第2弾を、ダッカ市内に2つある少女たちのためのセンターで、それぞれ8月16日と20日に実施しました。

P1000023.jpg8月16日に実施したのはパイクパラの公務員住宅内にあるセンター。

今回のメニューは「チョッポティ」。これはベンガル人なら誰にでもおなじみのおやつです。前回はある雇い主のおうちの台所を借りて、「ビリヤニ」という肉入り炊き込みご飯を作ったのですが、小さな台所で大勢分の料理をつくるのに時間がかかって夕方遅くなってしまい、少女たちが「早く帰らないと雇い主に怒られる」と半ベソになってしまったのと、ビリヤニはちょっとご馳走で材料に費用がかかり、そうそう自分で練習もできない、ということもあって、今回はあらかじめ下ごしらえしたものをセンターに持ち込んで作り方を教える方法にし、メニューも安い材料でたくさん作れ、しかも将来万一生活に窮したとき、「作って売る」ことができるようなものを選びました。

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で、チョッポティですが、作り方は大まかに言うと以下のとおり。

1 タマリンドを水につけておく 

2 ヒヨコ豆をゆでる

3 玉ねぎ、きゅうり、トマト、コリアンダーの葉(香菜)、青とうがらしを刻む

4 ゆで卵をおろし金ですりおろす

5 じゃがいもはゆでてつぶす

6 2~5を混ぜ合わせ、「チョッポティ用スパイスミックス」を入れる

7 チップ菓子を袋の上から手でつぶして割る

8 6に1のタマリンドの汁をかけ、7をちらす

P1000028.jpg大きい子の中には「もう作り方知ってるもーん」という子も二人ほどいましたが、ちゃんと作り方を習ったことのなかった子たちは大喜び。とくに、チップ菓子を袋の上から手でバリバリつぶす作業はみんなでキャーキャー大騒ぎ。

できあがったチョッポティはこんな感じ。ヒヨコ豆のさくっとした感じとチップ菓子のパリパリした食感、いろんな野菜の味やタマリンドの酸味が合わさって、おいしいんです、これが。ほんとはスパイスの配合こそが大事なところなんでしょうが、「チョッポティ用スパイスミックス」はバングラデシュならどこでも売っているらしく、手軽なので、今回はまあこれでよし、と。(何が入ってるのか、日本の皆さんのためにはあとで調べておきますね)

講師は前回も少女たちの雇い主のひとりに声をかけて協力をお願いしたのですが、今回もまた別の雇い主にお願いしました。

P1000029.jpgうれしかったのは、今回チョッポティの作り方を教えてくれた雇い主の女性が、「あれ?Phulki(この事業をいっしょに実施しているパートナー団体)の新しいスタッフだったっけ?」と思うほど、その場になじんで子どもたちに親切に接してくれていたことです。少女たちもリラックスしてお料理教室を楽しんでいました。

さて、続いて20日に実施したのはコライル・スラムの中にあるヘルプ・センター。こちらのメニューは「ピャージュー」。ピャージというのはベンガル語で玉ねぎのこと。これもまたバングラデシュではとてもポピュラーなスナックです。

P1000052.jpgコライル・スラムのセンター周辺はごみごみしていて広い場所がないし、室内だと火を使うのは危ないので、どうするのかな、と思っていたら、Phulkiのスタッフが考えたのは、センターの入り口(外)で七輪のようなコンロとなべを持ち込んで講師(こちらも雇い主)が料理し、それを少女たちが4人ずつぐらい順番に見る、という方法。作り方そのものは、センターの中で口頭でも説明できます。

コライル・センターの少女たちはパイクパラ・センターより小さい子が多いのですが、スラムで育つ子たちはたくましく、両親がスラム内で小さなお店をやっていてこういったスナックを作って売っており、「だから私も作れるよー」という子が3人ぐらいいました。

P1000060.jpg玉ねぎの値段が高いときはどうする?とスタッフが質問したら、玉ねぎを減らして代わりにじゃがいもを入れる、とか、青いパパイヤを入れる、という答えが少女たちから返って来ました。こんなに小さいときから経済観念もしっかりしています。

ピャージューの作り方はだいたい以下のとおり。

1 黄色いダール豆を水に2時間以上つけておく

2 やわらかくなったダール豆をグラインダーですりつぶす。このとき、完全につぶしてしまわないで、半分ぐらいつぶつぶを残しておくのがポイント。

3 玉ねぎ、青とうがらしを刻む

4 2と3を混ぜ合わせ、塩で調味する

5 4を平たい団子状にし、油で揚げる

P1000066.jpg油はマスタードオイルを使う人も多いそうですが、今回講師をつとめてくれたパルビンさんによると、大豆油がおいしいそう。みんなで熱々のうちにお味見しました。

来月の半ばぐらいから、イスラム教の断食月、ラマダンが始まり、イスラム教徒は日の出から日没まで断食したあと、イフタールという断食明けの特別な食事をとります。今回つくったチョッポティやピャージューはイフタールや断食月中の夜食に好まれるスナック。少女たちは、ラマダンのときには自分で作るんだとはりきっていました。

ラマダンの間はとくに早朝や夕方に断食前後の食事の用意をしたり、断食明けのお祭りであるイードにそなえて大掃除をしたり、と、どの家でも家事が増えます。ラマダン中はヘルプセンターのクラスの時間帯もずらし、雇い主にはラマダン中子どもたちに過重労働をさせないよう、家庭訪問やミーティングで呼びかけることにしています。