ナラヤンプールの雨.jpgベンガル新年を祝ってちょうど1週間、今年初めてのスコールがやってきました。21日、出張先のノルシンディ県のパートナー団体、PAPRIの事務所で、風が強くなってきたなあ、と思ったら、空がにわかにかき曇り、バケツをひっくり返したような雨が降ってきました。写真は大雨のさなかPAPRIのナラヤンプール事務所の中庭を撮ったもの。屋根から滝のような水が流れ落ちているのがわかるでしょうか。

バングラデシュの本格的な雨期は普通6月中旬から8月中旬ごろなのですが、1年を大きく雨期と乾期に分けると、4月半ばから9月ぐらいまでが雨の降る季節。ちょうどベンガル新年を境に雨期に入ったことになります。土地の暦というのはよくできたもので、最近多少の異常気象はあるものの、ベンガル暦で月が替わると本当に気候が変わるのがわかります。

21日の最初の大雨のあと、22日から今日まで3日間、日中は晴れたり曇ったりでしたが、夜は連続して激しい雨と風。なんだか二転三転して迷走中のこの国の政治状況を映しているかのよう。

ここ2、3日、すぐにでも出国するかと言われたカレダ・ジアは、サウジ・アラビア政府がビザを出すかどうか迷っているうちに当面出国しないと翻意したようだし、23日帰国予定だったシェイク・ハシナは英国航空が搭乗券を出さず足止めされたロンドンで、国際メディアに「建国の父の娘の私が帰国を阻止される理由がどこにあるのか」と訴え。強引な暫定政権のやり方に、内外からのプレッシャーが強まり、選挙管理内閣は苦境に陥っています。

私の周りの人たちの意見やテレビ討論などを見たところでは、中流階級の人々も、「選挙管理内閣は公正な選挙を行う準備をすることが本来の仕事。二人の党首を法的根拠もないまま海外送りにするのはやりすぎ。今の政府がやるべき仕事じゃない。物価も上がったまま下がらないし!」という論調になってきました。「パキスタンのやり方を嫌って独立したのに、パキスタンと同じことをしてどうする!」という意見もあったりして。有識者たちも連名で、「二人の党首から基本的人権を奪うことは民主主義への道にはつながらない」と声明を出しました。

まだどんでん返しの可能性も否定できませんが、暫定政権による二人の党首追い出し工作は未遂に終わりそうな感じです。カレダ・ジアの「軟禁」「海外送還」に関しては、最高裁がかなり強固に異議を申し立てていますし、英政府はロンドンでの二国間外務閣僚会談でハシナの帰国差し止めに疑問を呈しました。ここで内外の支持を失うわけにはいかない政府としては、作戦変更するしかないでしょうが、ここまでやったあとでどうやって繕うんでしょうかね。

明日誰の上に日が照るのか雨が降るのか、直前までわからないところは本当にバングラデシュの雨期の天気そっくりです。