先月24日~30日までスタディツアーメンバーを受け入れ、都市と農村をそれぞれ案内してきました。

今回のツアーのテーマは変貌を遂げつつあるバングラデシュ社会の「今」を皮膚感覚として理解してもらうこと。そして俯瞰的にバングラデシュ社会の変容を理解し、その中でシャプラが行っているプロジェクトの意味合いを理解してにらいたいいうことを考えたとき、やはり縫製産業は外せないトピックでした。

ということで縫製産業という観察軸を提供しつつ、労働力の供給地たる農村での生活実態、そして村から出てきた子弟が都市でどのような生活を営んでいるのかということをについて、シャプラニールのプロジェクト地を訪れて実体験して頂きました。もちろん縫製工場にも訪問。
実はツアーで縫製工場を訪問するのはシャプラとしても初めての取組み。互いの信頼関係がまだ出来上がっていない相手なので、企画サイドとして内心びくびくしながらの訪問でした。しかし社会的変化の「最前線」とも言える現場を垣間見ることができて、実に面白い体験でした。
縫製産業とこれをとりまく社会状況については関心の高い人も多いと思うので、数回に分けて今回のツアーの様子をお伝えしてみたいと思います。
今回のツアーでは実際の労働力の流れに沿うように行程を組みました。つまり農村⇒都市という順番ですね。ツアーメンバーは成田で出発が4時間も遅れたため、トランジットしたバンコクで寝られたのはわずか3~4時間。翌日ダッカに到着早々いきなり疲れているメンバーを見たときは若干めまいがしました。。。まぁ皆さん元気で帰国してもらえたのでよかったですけども。
そして到着翌日。早速ノルシンディ県、ナラヤンプールにあるPAPRIを訪問し、ここで2泊。バングラといえど冬は寒く、夜ともなれば吐く息は真っ白。当然「お湯」などという贅沢なものはなく、シャワーは水。夜は布団をかぶってもまだ寒いので冬の農村宿泊時に寝袋は必須アイテムです。
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写真はPAPRIのゲストハウスでガイド兼通訳のアロムさんからお話を聞いている様子。
PAPRIではPOP(最貧困層)グループ活動、アドルセント(思春期の少女)グループ活動、障がい者の支援活動を見て頂き、実際に村人の家にお邪魔しながら農村の生活ぶりを体験してもらいました。
いつも訪問する度に思うんですが、やっぱり女性が元気です。POP(最貧困層)なんて聞くと悲壮感漂うイメージを抱きがちですが、実際はなんのなんの。ものすごく前向き。「今やっと牛1頭飼えるようになったけど、これからもっと増やすわよ!」なんて言っていました。やはり足元の目標をしっかり見据えて取組んでいる人は、国を問わず元気なようです。
しかし驚いたのはツアーメンバーから「豊かになったら何がしたいですか?」という問いに対して「自分よりも貧しい人を助けてあげたい」という回答が返ってきたときですね。もちろん全員がそういう風に考える訳でもないのでしょうが、それでも経済的に厳しい暮らしの中でこういう発想ができる人を見ると「いったい本当に貧しいのはバングラデシュなのか、日本なのか?」と考えてしまいます。
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「悲壮感」なんて言葉とは無縁な感じです(笑)
あとアドルセントグループと話をした時に、将来の仕事として「縫製工場で働きたい」という女の子が結構いるかと思っていたのですが、そういう回答はあまりなかったですね。最近は地方にも縫製工場ができているから、少女たちの中で就職先としての有力候補になっているかと思ってたんですが。ちょっと意外。
さて、2泊3日のPAPRI宿泊の後はダッカに移動。縫製工場見学⇒手工芸品生産者訪問⇒家事使用人として働く少女たちの支援センター訪問⇒観光・買い物という流れで都市部の暮らしの様子を観察して頂きましたが、長くなってきたので続きはまた改めて。