続々・隣のナシマ

0

屋上のナシマ.jpg 前にもご紹介した隣家のお手伝いの少女、ナシマがいなくなりました。田舎の村に返されたようです。数日前から、台所の窓の向こうにナシマの姿が見えないな、とは思っていたのですが、このところだんだん肌寒くなって窓を開けっぱなしにする気候でもなくなっていたし、私も出張したり風邪を引いて寝込んだりしていたので気がつかなかったのです。

 ついにナシマが田舎に返されたらしい、という情報をもってきたのはうちのお手伝いさんのイラでした。イラによると、数日前、ナシマは「もうこの家にはいられない」と激しく泣いていたとのこと。その後見かけないのでフラットの守衛たちにそれとなく聞いてみたころ、彼らの間では「あの娘は盗みを働いて村に返された」ということになっていたそうです。
(写真=屋上で花とチョコレートを手にポーズをとったナシマ)

  「盗みをしたってのは嘘じゃないかねえ。本当のところ何があったのかわからないけど、そんなことする子には見えなかったよ。まだ遊びたい盛りの年頃なのにかわいそうにねえ」とイラ。日頃、「隣のお転婆娘は、私がアイロンをかけていると、おーい、おーいって窓から呼んで邪魔するから困る」とこぼしていた割には同情的です。

実はちょうど1ヶ月前の金曜日、「村に返されることになったの。もうあんたなんか要らないって。今日の午後帰るの」とナシマが言い出し、それならと私が持っていた日本のチョコレートをひと箱餞別に渡し、屋上で写真を撮ってやった日がありました。ナシマの村や家族の名前を聞き、ノルシンディに行ったら写真を持って訪ねていくから、と約束したのですが、その翌朝また、台所の窓辺に呆然と座っているナシマをみつけました。「村に帰るんじゃなかったの?」と聞くと、「そう言われたからそのつもりですっかり準備していたの。でも、それは怒ったから言っただけだったみたい」と言うのです。

そういうことが2回ほどあり、なんだかんだいってもそう簡単に返されることはないらしいと思っていたら、今度は本当に帰ってしまったようです。飛び跳ねながらこちらに手を振る姿が隣の窓にないのは寂しい気もしますが、籠の鳥のように朝から晩まで台所にいるナシマを見るのは辛かったので、村に帰ったと聞いてちょっとほっとしています。しばらくはまた働きに出されることなく、村にいられればいいのですが...。

屋上で撮った写真はイードの里帰りまでにプリントしてあげる、と約束していたのですが、思いがけず早く去っていったので渡しそびれてしまいました。イラが見たとき、激しく泣いていた、というのが気になります。私という「隣の日本人」と話をしていたことについても、どうやら叱られていたようです。

ナシマの故郷の村は、偶然ですがシャプラニールが長く活動してきたノルシンディ県にあります。ナシマが教えてくれた地名をダッカ事務所のスタッフに聞いてみたら、パートナー団体、PAPRIのアムラボ事務所からそれほど遠くないらしいことがわかりました。今度そのあたりに出張したら、写真を持って探しにいってみようと思います。そしてできれば、PAPRIを通じてナシマの家庭をなんらかの形で支援することができ、ナシマがPAPRIの少女グループのメンバーになって、村で同年代の少女たちと元気に歌ったり劇をしたりする姿を見ることができたら...と思い描いています。

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterEmail this to someone

コメント

CAPTCHA