昨晩ダッカにあるシェラトンホテルのレストランにて、とある食事会に参加してきました。
あ、写真は普段取りなれていないせいもあって忘れてしまいました。
今度から出かけるときは必ずカメラを携帯するようにしないと。
参加者は、ダッカ事務所からは田中事務所長のご家族、内山駐在員、私の5名。
そして日本からお仕事の関係でいらした、富士ゼロックス株式会社のKDIという部署で経営コンサルタントとしてお勤めの荻原さん。ナレッジマネジメントがご専門です。そしてもうお一方、「している株式会社」の代表をしておられる長尾さん。何を「している」かは是非ホームページを見て確認してみてください(笑)。
今回の食事会は、私の赴任直前にほとんど突然耳に入った話だったので背景がよくかっていなかったんですが、よくよく聞くと偶然が重なった結果のご縁によるものでした。
きっかけは荻原さんが日本でファシリテーターとして開催なさったワークショップ(だったかな)の参加者の中に、田中所長の知り合がいらしたことに端を発します。たまたま荻原さんがその方と今回のダッカ出張のことをお話になっていたところ、知人(=田中所長)がダッカにいるから会ってみては、と仰ったことから今回の食事会が実現したわけです。また、荻原さんと長尾さんもお互いが初めてお会いになってからそれほど時間も経っていないということで、今回の食事会は実に細い糸を手繰り寄せた結果、実現したものだったわけです。
ちなみに長尾さんは、荻原さんから「今度ダッカに行くんだけど時間あったら行く?」と問われ、「行く!」で一緒にいらしたとのこと。いや、決してお暇な訳ではありませんので念のため。
しかしこうした機会に恵まれるのも駐在員ならではですね。ありがたいことです。
この食事会でお二方のお仕事について色々と興味深いお話を聞かせて頂くことができました。
中でも面白かったのは、長尾さんがとある大手クライアント企業の重役10数名に対して、「水だけ与えて無人島で48時間過ごす」という研修を行われたときのお話でした。研修の目的は一言で言えば「(重役の)マインドセットを変える」ことだそうですが、それにしてもすごい荒業です。
長尾さん曰く、「営業するのが難しいんですよねー。無人島で過ごしてみませんか?と言っても門前払いだし。」ってそりゃそうだと思います(笑)。ただこの研修、2年に1回のペースで既に3回行われているそうですから、高い効果をあげておられるであろうことが伺えます。
一方荻原さんのお話で興味深かったのは、企業の経営コンサルを行う際に必ず現れる「反対勢力を押さえ込まない」経営改革。頑固に反対するのは関心の高さの裏返しだから、味方になるようもっていくことを考えるのだとか。また、従業員が何千何万の企業でも、ヤル気のある人間は何%かは必ずいるからその人たちを探し出してアプローチし、燃えている人が他の人にをつけるという具合に改革を進めていくとのこと。
いずれにしても、「人を観る眼」と「勘所となるタイミングを逃さない嗅覚」などかなり高度なノウハウが求められる訳ですが、国際協力の現場に相通じるものが感じられて大変面白いですね。
ただ私にとって最も印象深かったのはお二方の言葉の選び方でした。
お二方とも日頃からファシリテーターとしてトレーニングを積んでおられるせいか、とにかく聞き手が理解しやすい単語と間(ま)でお話になります。お話している中で、何度も「なるほど。この場面でそういう言葉をもってくるのか」と、考える場面がありました。
赴任するにあたって国際協力に明るくない友人などから「バングラに行ってなにするの?」としばしば尋ねられましたが、なかなか分かってもらえずもどかしい思いをしました。
友人は私がプロジェクト現場に駐在して直接現地の人に何かをすると考えていますが、そうではないからです。あくまでプロジェクトの運営主体はパートナーである現地NGOのバングラ人スタッフ。ダッカ事務所はパートナーNGOにプロジェクト運営に必要な視点や考え方をアドバイスし、プロジェクトを進捗させるためのサポート役を果たす。
システム開発で言うところの”Project Management Office(PMO)”なわけですが、それはいわばパートナーNGOへのファシリテートを通じて現地の人の問題解決のお手伝いをするコンサルタントでもある。そしてそうあるためにはファシリテーターとしてのスキル向上は絶対条件な訳で、そのひとつとして言葉選びのセンスをもっともっと磨かねばならない。お二方のお話になる姿を拝見して、赴任前に今ひとつ自分の中で明文化できていなかった考えが少しまとまった感じがしました。
しかしこれ、ベンガル語でやんないといけないんですよね…。日本語でも難しいというのに。
しかも任期は2年だし。。。がんばろ。ベンガル語。