シャプラニールがバゲルハット県、ボルグナ県で現地NGOをパートナーとして救援活動を始めて以降、いくつもの被災地の小さなNGOが電話をかけてきたり、請願書のような手紙を持ってダッカ事務所を訪れてきたりしています。今行っている救援活動だけでもいっぱいいっぱいな状態で、私も髪を振り乱している感じなのですが、必死の面持ちで被災地からやってくる彼らに邪険な態度をとることもできず、できる範囲で話を聞いています。

ここ数日目立つのは、今回もっとも被害が大きかったバゲルハット県やボルグナ県、ポトゥアカリ県などの最大級の被災地の隣で、相当の被害がありながらあまり新聞報道などがされず、やや目立たなくなっている地域、ピロジプール県やゴパルゴンジ県、ボリシャル県などの小さなNGO。いずれも「うちの地域はぜんぜん救援が足りない、人々は大変な状況なのに無視されている」と訴えます。

今日訪れたゴパルゴンジ県の団体の人は、「私たちが活動している郡は全国的にはマイノリティであるヒンドゥー教徒が8割を占める地域。日ごろから無視されがちな地域で、政府も邪険なので、サイクロンの救援からも取り残されているんです」と言います。ここは実は建国の父シェイク・ムジブル・ラーマンやその娘の元首相、シェイク・ハシナの出身地。マイノリティの人たちにはアワミ連盟を支持する人が多いので、前のBNP政権のときは徹底して無視されたと言います。「うちの郡に入ったら急に道も悪くなるんですよ」だって…。

こういった地域の今回のサイクロン被害がどの程度なのか、正直なところ行って見てみないとわかりません。ボルグナ県やバゲルハット県など、最大級の被害があって新聞によく写真が載る県の中でも、地区によって被害の甚大だったところ、それほどでもなかったところがありますし。「救援活動を支援して!」と言ってくるところでも、行ってみたら被害はそれほどなかった、ということもなきにしもあらずなのです(逆の場合ももちろんありえます)。また、日ごろ全然お付き合いのない、評判を聞いたこともないNGOといきなり組んで救援活動をする、というのはなかなか難しいものがあります。でも本当に被害が大きくて救援がぜんぜん回っていないのであれば、なんとかしてあげたい、とも思うのですが…。

ダッカ事務所は今、プログラムオフィサー2人と小嶋駐在員が現場からまだ戻らず、ただでさえ事務所の人員が少なくなっています。筒井事務局次長は今日もう日本に帰ってしまったし。2台ある車も出ずっぱりでレンタカーも動員中。これまで決めた2つの現場にはもうかなり資金もつぎ込んでいます。

あっちでもこっちでも救援が足りず、地元の小さなNGOが救援活動をしたくても資金がなくて困っていることはわかっていても、資金にもマンパワーにも限りのある私たちとしてはお断りしなければならない場合がほとんどです。「どうかあなたがたが私たちに協力してくれますように、神のご加護を」と言われて、ううう、と唸っています。