日本でも新聞などで大きく報道されているようですが、今回のサイクロンによる死者は遺体が確認されているだけでも2千人を超え、その数は増え続けています。首都ダッカには電気が戻り、ほぼ通常の状態になっていますが、被災地では電話網も絶たれ、電気も通じず、連絡をとるのが非常に困難な状況が続いています。

今日は1日、“被災地となった地域で日ごろから活動していて、シャプラニールともある程度のつきあいがあり、報告能力があり、緊急救援がきちんと実施できる能力があって、しかも他のドナーの援助が殺到していないNGO”についての情報収集に追われました。今はバングラデシュのNGO関係者はみな携帯電話を持っており、とくに現場に出ている人とのやりとりは携帯が頼りですが、被災地に電気がないため携帯の充電ができず、電話が通じない、という場合も多くなっています。とにかく現場に入らないとラチがあかないという状態ですが、拠点も確定しないままやみくもに被災地に向かっても意味ある支援はできないので、ぐっとこらえて今日は地道に各方面から情報収集の1日でした。

UNDPやユニセフ、WFPなどの国際機関や、海外の大きな国際NGO、またBRACなどバングラデシュ国内大手の巨大NGOは巨額の救援を決定し、現地での救援活動をすでに開始しています。またバングラデシュ軍はヘリコプターや海軍の船で沿岸部に行き、食料給付を実施しています。

このようなとき、緊急救援現場では、さまざまなことが起こります。信頼できるよい活動をしている現地NGOにその団体のキャパシティを超えるような大きなドナーの支援が集中してしまい、極端なオーバーロード状態に陥ってしまったり、巨額の支援金が動く現場のなかで、資金の行方が不明瞭になってしまったり。日ごろから活動しているバングラデシュであるだけに、そういった歪みを招くような支援は私たちは避けたい。そういう思いはスタッフの中に強くあります。

シャプラニールは緊急救援だけを実施している専門団体ではないので、緊急事態であっても通常の活動も粛々と続けていかなければなりません。また、今回被害が大きかった地域は、シャプラニールが日ごろからプロジェクトを実施している直接の活動地ではありません。しかし、長年活動してきた活動国内での一大事、できる限りのことはしたいと思っています。

ダッカ事務所の現地スタッフもプログラムに直接かかわるスタッフは数名ですので、効果的な活動ができるかどうかは信頼できる現場のパートナー選びが勝負です。そういうことで、少し出遅れているようにみえるかもしれませんが、日ごろのネットワークを総動員し、駐在経験者の知恵も寄せ集めて、慎重に情報収集してパートナー選びをしています。緊急救援の経験豊富なダッカ事務所の現地スタッフを現地に派遣することも検討しています。

近いうちにHPでも今後の救援活動の方向についてお知らせができるかと思います。「シャプラニールは何をやってるのかしら」と気をもんでいる皆さま、もう少しお待ちください。私たちにできる範囲のことを、誠実にやりたいと思っています。