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「海外インターンシップ報告」白井佐智子

2003年11月1日から2004年1月31日にかけて、インターンという立場でバングラデシュに滞在してきました。機会を与えてくださった方々に心から感謝しています。
「むこうでどんな仕事をしてきたの?」と日本に帰ってきてからよく聞かれました。私は駐在員の仕事の補佐もさせてもらいましたが、主としてバングラデシュという国を知る、ということに重点を置いた生活をしてきました。私はもともと「国際協力はまず相手を知るところからはじまる」と考えていたので、この生活は私の気持ちに合ったものでした。かなり充実した日々を過ごさせていただきました。
シャプラニールのプロジェクト地には全て行きました。それらを比較することで見えてくることもありました。例えば、イショルゴンジ郡には3つのオフィスがありますが、お互いがほんの20kmくらいしか離れていないにもかかわらず、地域の経済状況、オフィスの置かれた時期、スタッフの気質、ヒンズー教徒の率、大きな道路からの遠近(物流・情報へのアクセスの差)などによって、全て雰囲気が違います。ある地域のショミティでは「私たちのショミティを良くしたいのだけれど、どうすればいい?あなたはいろいろな場所を見てきたのでしょう?」と真剣に訊ねてくる女性たちに会いました。別の地域のショミティでは、外国人や男性に怯えてしまって上手く話ができない女性たちにも会いました。「地域の自立を目指す」ことがシャプラニールの目標ですが、その「地域」は本当に多様であり、ある地域では可能なことが他では必ずしもできるわけではない、何を必要としているかはそれぞれ違ってくるのだ、と実際に知ることができました。
ダッカオフィスのスタッフも地域オフィスのスタッフも、素晴らしい人たちでした。バングラデシュ国内でこんなにたくさんの人がシャプラニールを愛し、大切に思っていることを、来てみてはじめて実感できました。思うようにならない現実に直面していながらも、彼らは誠実に努力していました。
バングラデシュは農業国で、大半の人が農村で暮らしています。私は、ショミティメンバーの生活の基盤はどのようなものなのかを知りたかったので、「バングラデシュの農業の現状を知ること」を自分の滞在中の課題にしていました。そのため、農薬の使用状況を調べたり、農業に関係する団体(UBINIG)に滞在させていただいたりもしました。男性ショミティを訪問する時にも農業関係の質問を多くさせてもらいました。「有機肥料は効く」と熱を込めて語る人もいれば、「乾季に稲作をするためには地下水を汲み上げて使うのだけれど、そのためのお金が高くついて困っている」と語る人もいました。
バングラデシュでは、年に2回もしくは3回も米が作られています。12月のはじめ頃に鎌で手作業で稲刈りをしていて、1月半ばにはもう田植えが始まっていました。牛と人力で耕す様子があちらこちらで見られました。私は稲田で働くバングラデシュ人の労働量の膨大さに圧倒されました。しかも切ないことに、お米はバングラデシュ全土で作られるので、作ってもあまり高くは売れません。地形的にほとんどお米しか作れないということが、イショルゴンジ郡が経済的な遅れをとってしまうことの一つの要因です。シャプラニールが活動を始めて何年も経った地域でも、経済的な向上がまだ大きな課題である場所もあり、活動の難しさを、だからこそ活動の必要性があるのだということを強く感じました。
自分にとって何よりもよかったことは、バングラデシュを知るための時間が充分に持てたことです。また、女性であったということも一つの利点でした。ダッカを離れて地方に行くと、ブルカを着用しているイスラム教徒の女性が多くなります。黒一色の服の彼女らは、自分とはあまりにも違う人間に感じられました。保守的なのかな?外国人は嫌いなのかな?大人しい人たちなのかな?と、あれこれ考えてしまいました。私は彼女たちの心の内が知りたくなり、彼女らと話すチャンスを待っていました。そのチャンスは意外に早く、そして何度も訪れました。男性にならば声をかけられない彼女たちも、女性である私には遠慮がなかったのです。「どこから来たの?」「一人できたの?」「なんで髪が短いの?」「結婚しているの?」「なんで結婚していないの?」「なんでアクセサリーを着けないの?」「ちょっと部屋を見せて」「日本からの航空券代はいくら?」などなど訊ねる、好奇心あふれる人たちでした。この点では他のバングラデシュ人と少しも変わりがありませんでした。
川と緑とカラシの花のなんとも美しい景色に喜び、身分社会であることに戸惑って疲れ、独立戦争博物館の誇りと情熱に感動し、バジャールの果物屋でボラれて腹をたて、ゆったりした美しい歌に魅了され、子どもに物乞いをされて気持ちがよどみ、ベンガル人のスタッフたちと熱く語って嬉しくなり、日本への誤解に出会ってはもどかしい思いをし、友達と呼べる人との出会いに涙が出そうになり、という具合に、心はプラスにマイナスに日々大きく揺れながら、だんだんとバングラデシュという国の形を理解していくことができました。バングラデシュ人は「この国をどう思う?」と聞くのが好きです。これにはじめは「自然の美しい国ですね」と答えていましたが、次第に「人こそが素晴らしいです」と答えるようになっていました。バングラデシュをとても好きになって帰ってくることができました。
最後に、重ねてになりますが、インターンとしての機会を与えてくださった方々、そして忙しい中で受け入れてくださった関係者の皆さまに、心から感謝しています。遠回りになるかもしれませんが、この経験を生かす生き方をしていきたいと思っています。ありがとうございました。
(2003年度 海外活動グループインターン 白井佐智子)
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