特定非営利活動法人 シャプラニール= 市民による海外協力の会(地図・住所) TEL:03-3202-7863 FAX:03-3202-4593
私はネパールに来るまでフィールド調査の経験がなかった。そこで知人から実践経験の多いフリーランスの女性を紹介してもらった。この国には援助機関で経験を積んだ後フリーで働く人が結構おり、日当の相場は約1万円だと聞いていた。日雇い労働者の賃金が二、三百円、事務職の女性の月給が七、八千円という国での日当一万円はスゴイ稼ぎだ。この女性に一緒に調査地に行ってもらったのは午前6時半からの2時間、5日間程度だったが、それなりの金額を要求されることはやむを得ないだろうと思っていた。最終日に「これまでのお礼をしたいのだけど、私はネパールの相場がわからないからそちらから遠慮なく金額を言ってくれない?」と尋ねてみた。「え?お礼なんていらないわよ。時間も短かったし。私ね、これまで援助の仕事をしてきたけど村のことばっかりやってて自分の住んでるカトマンズのことなんて何も知らなかった。スラムに自分と同じシェルパ族の人がいて実にショックだったのよ。都市の貧困層と接するチャンスをくれてむしろありがたいと思っているわ」そう言われても何となく心配で「たくさんは払えないけど、ほんとにいらないの?」と聞いた。彼女は「大丈夫。外国のNGOからガッポリもらうから」と言って去っていった。彼女以外にもたくさんのネパール人に助けられた。世界銀行のプロジェクトで働いている男性は無料でスラムの地図を描いてくれた。援助関係者にもいろいろな人がいるものだ。ネパール人とは「お金持ちの日本人」としてしか付き合えないのだろうかと思った時期もあったが、調査の過程で友人として付き合える人もできてきた。スラムの住民とも同じような関係になれるのかが次の課題だった。