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Home > 現地からの便り > ネパールつづれつづれ草(第3回)
ネパールつづれつづれ草
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第3回: 大家さん家のアショック

ネパール、カトマンズの季節は、四季ではなく6つに分かれるそうである。春(3・4月)、夏(5・6月)、雨期(7・8月)、秋(9・10月)、冬(11・12月)、そして日本にはない風の季節(1・2月)は、まだ体験したことがないが、どんな季節なのだろう。

今は、11月なので冬である。冬と言っても、日本の寒い冬とは随分様子が違う。日中は20度を越え、外にいると暑いぐらいであるが、一歩、室内に入ると涼しいので、うっかり薄着をしていると手足がひんやりとして、風邪をひいてしまう。朝晩は、大変冷え込み、朝8時頃まで真っ白に靄がかかっていたりする。私は朝が苦手なので、寒くなると起きるのがなおさら辛いのだが、ネパールの人は、みんな早起きである。たいていの人は5時か5時半には目を覚まし、朝のミルクティーを飲むようである。高校や専門学校で朝の6時に授業が始まるというところも少なくない。早寝早起きは、電気代の節約になるし、脳の働きは朝の1時間は夜の3時間に匹敵するのだそうで、早起きは三文の得とはよく言ったもの、ぜひとも見習いたいものである。

私の上の階に住んでいる大家さん夫婦も、やはり早起きである。信仰深い人たちで、毎日食前のお祈りを欠かさない。庭に小さなヒンドゥー教の神様の祠があり、そこで早朝からお経を唱えている。お経の最後にほら貝をボォオ〜ッと吹くので、初めの頃はびっくりして目を覚ましたものだったが、毎日聞いていると、お経のメロディーをいつのまにか覚えてしまい、知らずに口ずさんでいる時がある。

大家さんは2人の娘、息子をアメリカへ留学させていて、夫婦2人だけで住んでいるのだが、12歳のアショックという名の少年が住み込みで、掃除、庭の手入れなどを手伝っている。アショックは、カトマンズ近郊の村出身で、2年前から大家さんのところで小学校に通いながら働いている。学校へ行っている時以外は、用事をあれこれ言いつけられてはせっせと健気に仕事をしている。大家さんだけでなく、私や夫にもいろいろ気を配ってくれ、出掛けようとすると飛んできて門の開け閉めをしたり、雨が降ってくると洗濯物を取り込んでおいてくれたりする。が、よくヘマもやらかし大家さんのご主人から、「アショーック!」と怒鳴られている。親元から離れ、友達と遊ぶ時間もなく、寂しい思いをしていることと思うが、奥さんをマミーと呼び母親のように慕っている。

近所を見渡すと、アショックと同年代の少年がよく住み込みで働いているし、バスに乗れば、少年が運転手の助手として運賃を受け取ったりして働いていて、空席を作って「姉ちゃーんこっち来てすわんなー」と呼んでくれたり、その姿は頼もしくもあるのだが、こんな子供の時から労働力として使われ、学校へ行くより働かなければならない少年、少女がネパールにはたくさんいるようである。ネパールの教育制度は、1〜5年生が小学校、6・7年生が中学校、8〜10年生が高等中学校で、公立校の授業料は無料である。だが、中学校数が小学校数の10%と少なく進学できなかったり、貧困家庭の子どもは労働力としてかりだされ中途退学をする生徒が多いのが現状のようである。ネパールの成人識字率は、40%、その中でも女性は25%と低く、女性の役割は家事をこなすことで教育は必要ないという考えが根強く残っているようである。

ところでアショックだが、学校には通ってはいるが、大家さんも学校より仕事の方を優先させる傾向があり、休みがちである。家でもなかなか集中して勉強する時間が取れないようで、今、小学4年生なのだが、「5年生に進級するテストがすごく難しいんだ」と言っている。


バックナンバー

バックナンバーは以下でご覧いただけます。

第1回 路上の牛たち
第2回 きゅうりのカンクロー
第3回 大家さん家のアショック
第4回 今日もご飯はダルバート
第5回 今日のおカジャは何にしよう?
最終回 バス旅行のススメ

岡山純子(おかやま・じゅんこ)
1969年大阪生まれ。大阪芸術大学工芸科卒業後、青年海外協力隊員としてモロッコ王国にて陶器製作を指導。帰国後、陶器工房勤務などを経て、1999年7月より夫とともにネパールのカトマンズに在住。現在はトリブヴァン大学附属語学キャンパス・ネパール語学科に在籍中。

 

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