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Home > 現地からの便り > ネパールつづれつづれ草(第2回)
ネパールつづれつづれ草
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第2回: きゅうりのカンクロー

10月になり長引いた雨季もようやく終わり、天高く秋晴れの日が続いている。ネパールではダサインという年間で最大の秋祭りのシーズンを迎え、バザールでは買い物客で賑わっている。このダサインは、魔神と闘い人々に平和をもたらすヒンドゥ教の女神ドゥルガーの勝利を願い、そしてその勝利を祝福する祭りで、家族が集い、新しい服を身に付け、ごちそうを食べ、と日本の正月のようなものだそうである。店や公共機関も8日間の休みになり、そしてその2週間後にはティハールと呼ばれる収穫祭があり、また5日間の連休とお祭り一色である。

私が通っている語学キャンパスも1ヶ月間の秋休みに入った。正式名称は、国立トリブヴァン大学附属 Campus of International Languages で、ネパール人のための外国語クラスと外国人のためのヒマラヤ語クラスに別れている。そのヒマラヤ語の中には、さらに公用語であるネパール語に、サンスクリット語、チベット語、ネワール語のクラスがあるが、サンスクリット語とネワール語は受講者が5名に満たなかったので今年度は開講されてない。ネパール語のクラスの1年生は80名ほどいて3クラスに別れている。老若男女、国籍も様々であるが、その中でも一番多いのは日本人で3分の1はいるのではないかと思う。月曜日から金曜日まで1日2時間受講するのであるが、先生が不足しているようで、私のクラスは校長先生が自ら教鞭を執っている。「これは心強い」と思ったのもつかの間、先生はネパール語が専門ではないそうで、文法の説明そっちのけで話が専門の社会学の方へ脱線してしまう。ネパールはインドと中国の大国に挟まれた小国で…というような内容の話をしているそうなのだが、単語が難しすぎて1年生の我々には、さっぱりちんぷんかんぷんなのである。熱がこもると、休憩を取るのも忘れて話続けるので、「先生お腹が空きました。休憩にして下さい」と1人の生徒の助け船に私たちは、「あぁ、やっと、お茶が飲める」と、大いに感謝するのである。ネパール語を学ぶ意欲に燃えていた人たちも、だんだん休憩のお茶の時間が楽しみでキャンパスへ来るようになってしまった…(のは、私だけ!?)。だが、先生にも当たりはずれがあるようで他クラスには「授業料(年間500ドル)のもとが取れるわ」と言っている人もいるようで、うらやましい限りである。…と、グチばかりこぼしてしまったので、1つぐらい誉めておこう。キャンパスの敷地内に喫茶店があり、紅茶やパン、ジャガイモ煮や、煮豆などの簡単な食事もでき、安くておいしい。紅茶とパンを食べてたったの8ルピー(16円)である。11時に授業が始まり12時を過ぎる頃に、だいたいどこのクラスも休憩を取るので、生徒や先生が集まりお茶を飲みながらおしゃべりに花を咲かせる楽しい一時である。

7月初旬にネパールへ来て3ヶ月、野菜を買うのは不自由しないのだが、込み入った会話になると語彙が乏しくお手上げである。だが、救いなのは、文の構成が日本語と同じで動詞が最後に来るので、文を作りやすい。また、親しみを込めて使える単語が、よくあり、たとえば、「とても」という意味の「dherai」は、名古屋弁の「どえりゃー」に似ているし、「だから」という意味の接続詞「tyasukaran」は、「ですから」と言っているように聞こえる。そしてお気に入りは、きゅうりのカンクロー(kaankro)と、はさみのカンイチ(kainchi)である。野菜売りのおじさんが「カンクロ〜イ、カンクロ〜」と、自転車を押しながら流す声を聞いていると、キュウリ面の少年を想像して笑いが込み上げてくる。でも、こんな当て字で覚えているときっと私のネパール語は、日本語の発音になっているに違いない。


バックナンバー

バックナンバーは以下でご覧いただけます。

第1回 路上の牛たち
第2回 きゅうりのカンクロー
第3回 大家さん家のアショック
第4回 今日もご飯はダルバート
第5回 今日のおカジャは何にしよう?
最終回 バス旅行のススメ

岡山純子(おかやま・じゅんこ)
1969年大阪生まれ。大阪芸術大学工芸科卒業後、青年海外協力隊員としてモロッコ王国にて陶器製作を指導。帰国後、陶器工房勤務などを経て、1999年7月より夫とともにネパールのカトマンズに在住。現在はトリブヴァン大学附属語学キャンパス・ネパール語学科に在籍中。

 

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