毎年、日本の夏休みに合わせてバングラデシュへたくさんお客さんが来る。ほとんどは(スタディツアーなど)シャプラニールへの訪問客であり、私の出番といえばダッカ市内観光を手伝う、あるいは体調を崩した方へ食事を提供するといった程度で、休日返上で訪問者のための手配やアテンドをする夫を励まし(?)、支える(!)のがもっぱらの仕事である。ところが、このところ我が家への個人的な訪問客もあり、寝る部屋の準備、食事の支度から、外出やショッピングに同行して(へたくそな)通訳をするところまで、いろいろとやることがある。
つい先日は、我が家へ赤ちゃんが来た。夫と私の共通の友人であるKさん夫妻に子ども2人。それに彼らの友人Fさん(20代女性)。子どもは女の子2人で、4歳の子と、8ヶ月の赤ん坊だ。ウチに子どもが泊まりに来るのは初めてで、いろいろ心配ではあった。
まず心配したのが石の床。転んで頭をぶつけないかしら。でも、これはクリア。裸足で歩くと冷たくて気持ちいいし、すべって転ぶほどのことはなかった。家中の床を毎日水拭きしているので、赤ん坊がはいはいしても大丈夫だろう。それから、次に心配だったのはお風呂。我が家にはシャワーはあるが、湯舟がない(他の日本人の家では湯舟を取り付けていることも多いが、これを機に取り付けようかと調べたところ2万タカ=約6万円すると分かり、あきらめた)。考えた末、洗濯に使う大きなたらい(直径57cm、高さ25cm)を買った(250タカ=約750円だった)。Kさん夫妻の協力で、これで水浴びは実にうまくいった。
6泊7日のバングラデシュ滞在中、電気の通っていない村で2泊を過ごした。村では電球、冷蔵庫、天井扇風機など無かったが、無いものは無い、とそれなりにしのだ。
村からダッカに戻り、電気のあるありがたさと、あるはずの電気が停電で止まってしまう不便さを同時に味わった。
ダッカ市内の停電は地域により差があるが、我が家のある地区では1日1時間停電するのが普通だ。電気使用量に対して供給量が追い付かないための計画停電である。といっても停電する時間は決まっていないので、夕方5時から夜中12時の間の1時間、と覚悟している。普段はそれも当たり前のことで、夫と私だけの生活なら「あ、来たな」くらいにしか思わない。しかし、日本からのお客さんがいるときは違う。暑いし暗いし大変だ。うちわか扇子、チャージャーライト(充電式非常燈)とろうそくが必需品だ。また、温水器(電気ヒーター)がそんなに大きくないので、続けて何人かシャワーを浴びるとお湯が足りなくなる。
子どもが眠くてぐずっているときは、早く水浴びをさせて寝かせたいところだが、そんなときに停電してしまうと、暗いし、お湯が足りなくなるかもしれないし、大変である。子どもは眠い目をこすりながらも、ろうそくがめずらしくてはしゃいでいる。早く水浴びしなさい!そんなに興奮すると、あとが大変だぞ。大人の心配は尽きないのだ。
かくして1週間はあっという間に過ぎた。電気の無い村ほどではないが、ダッカも日本と比べると不便である。ダッカで暮らして1年4ヶ月。ここでの暮らしに慣れ、普段は忘れてしまっているダッカの日常と日本との違いに、訪問客の目を通して改めて気付かされた。
97年〜99年滞在時の日記は以下でご覧いただけます。
白幡めぐみ(しらはた・めぐみ)
1967年千葉県生まれ。大学卒業後、アメリカのNGOでインターンとして1年間ボランティア活動に従事。帰国後の92年9月から97年3月までシャプラニールのスタッフとして東京事務局勤務。97年から99年までバングラデシュの首都、ダッカに在住。2001年8月から2005年12月まで、再度夫の白幡利雄(シャプラニールダッカ事務所長)とともにダッカに滞在。
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