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小松駐在員の日記

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真夜中の銃撃戦

去る11月の下旬、真夜中の12時頃だったでしょうか。テレビを見ながらうとうとしていた私の耳に、突然「パン、パパン」という乾いた重い音が響きました。私は慌てて起き上がり、部屋の電気を消しカーテンの隙間から外を覗きました。ついに首都カトマンズでマオイストと政府軍の銃撃戦が始まったかと緊張感に震えながらテラスへ出て様子を伺います。その音は止むことなく続き、しかも割りと近くから聞こえてくるようです。すでに熟睡態勢に入っている家族を起こそうかどうしようかと思いながら、とりあえず事態を出来るだけ把握しようと今度は屋上へ出てみます。近所の人も何人か外へ出ていますが、私と同じように「巻き込まれてはまずい」と思っているのか互いに大声で話しかける人はいません。そしてさらに一段高い場所へ登った時、私の目に飛び込んできたのはなんと、花火でした。

銃撃戦ではないとわかりホッとすると同時に、「こんな夜中に迷惑な!」という怒りと、カトマンズでは禁止されているはずの花火を誰が打ち上げているのだろう、という疑問が浮かんできました。とりあえず夜が明けてから真相を究明しようと、しばらく花火を眺めた後何も知らない家族の横で私も眠りにつきました。

翌朝の新聞の一面にはでかでかと写真つきで花火についての記事が出ていました。タイトルはずばり「カトマンズ市民を恐怖に陥れた花火」。どうやら、真夜中にコンサートを開いたバンドが企画したもので、事前の届出が却下されたにもかかわらず無断で実施したらしく、何も知らない市民は私同様恐怖のどん底に叩き落されたというわけです(ちょっと大袈裟か)。ネパール各地でマオイストと政府側との軍事衝突が続いている状況下での出来事だっただけに、「冗談では済まされないぞ」と怒っていた私。しかし周囲の人々にきくと気付いていない人も多く、また「何か音は聞こえたけど花火だったんだ」とそっけない返事。緊張でどきどきしたり腹を立てたりしていた私はちょっと拍子抜けしてしまいました。

(2003年12月16日)

バックナンバー

第一回:ツバメの家(2003/2/18)
第二回:ダルバートはわんこそばだ!(2003/3/8)
第三回:色の祭り−街が赤く染まる日(2003/3/17)
第四回:ネパールのピクニック(2003/4/15)
第五回:巨大な山車(2003/5/18)
第六回:フェアトレードデー(2003/5/18)
第七回:ダサイン Dashain(2003/10/11)
第八回:真夜中の銃撃戦(2003/12/16)
第九回:バンダ(2004/2/4)
第十回:ルンビニ訪問のはずが(2004/2/18)
第十一回:洞窟探検ツアー(2004/2/19)
第十二回:山車が倒れた!(2004/5/11)
第十三回:クマリの本(2004/11/24)
第十四回:ネパールでの復興支援(2005/2/2)
第十五回:ガネシュ(2005/8/26)

小松豊明(こまつとよあき)
シャプラニール・前カトマンズ事務所長。2002年12月〜2006年4月まで赴任。現在はクラフトリンク部門のチーフとして奮闘中。
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