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バングラデシュこんな事、あんなモノ
いよいよバングラデシュを去る日が近づいてきた。仕事上はもちろん、プライベートで知り合った人々へも挨拶をする日が続いている。積極的に外に出ていったとはいい難い私だが、それでも多くの友人知人にめぐまれたと実感している。
昨日2年ぶりに再会した人がいた。赴任早々コックスバザールへ行った時にラカインの人の家にお邪魔したことがあり、そこに20代後半の女性がいた。時には同世代の男性をやりこめるほどはきはきとモノを言う彼女を見て、新鮮な驚きを感じたものだ。今回は勤める銀行の研修で彼女がダッカにやってきたので、私の出発前に図らずも再会できたのである。彼女の口達者は健在で相変わらずであったが、私のベンガル語が少しは上達したせいか、話がはずみ楽しかった。
しかし、ほとんどの人と話をしていると必ず聞かれるのが「で、結婚は?」冗談半分の人もいれば結構真剣な人もいる。それ、スタディツアーだ、出張だとあちこち歩き廻る私を見ながらみんな実はやきもきしていたのだ、ということが話をするにつれだんだん理解できた。心配のあまりか(?)私が結婚したという話を作り上げられていたこともあった。みんなの心遣いには感謝するが、こればっかりは私にも思うようにならないのだから仕方ない。
バングラデシュの村々を廻ると、晴れた日に必ず目に付くのが低い木や地面に広げられた洗濯物やカタ(サリーなどの古布を刺し子で接ぎ合せた薄い布団)であった。私がカタに並々ならぬ興味を持つことを知る友人が、彼女の誕生時におばあちゃんが刺したというカタを見せてくれたことがあった。柔らかなクリーム色のサリーの上に孫の誕生を喜ぶ気持ちが詩として刺されており、この一枚の布に託された愛情と豊かさこそ、ベンガルの大地に生を受けた者だけに許された特権であると強烈に感じ、羨ましくも思ったものである。
そしてつい2週間ほど前のこと。私も念願のカタを手に入れることができた。カタを見せてくれた友人が、彼女の母親の古いサリー2枚を使って作ってくれたのだ。両面に使われた濃赤と白のサリーのコントラストも面白いが、サリーを使っていた人、カタを刺した人の想いが伝わってくるようで、そしてベンガル文化の一部を受け継ぐことができたような気がしてこの上もなく嬉しかった。
しかし広げてみると、このカタなかなか大きい。1人ではぐるぐる巻きになってしまうくらいのものだ。すると友人曰く「カタはね、1人で使うものじゃないの。普通は一緒にかける人が出来たら(=結婚したら)贈るものなのよ」ああ、またしても結婚だったかと頭を抱えるバングラデシュ最後の日々である。
(2003年9月30日)
第一回:秋がやってきた(2002/10/25)
第二回:憧れの旅人〜南インドへ〜(2003/2/20)
第三回:これって失敗?(2003/2/23)
第四回:トラブルクッキング…?(2003/7/3)
第五回:食事に気を遣うのは男性!?(2003/8/27)
第六回:バングラデシュこんな事、あんなモノ(2003/9/30)
藤ア文子(ふじさきゆきこ)
ストリートチルドレン支援活動の担当や、現場での活動の様子を日本の支援者の方々へ伝えたり、日本からの訪問客の対応等を行う。 |
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