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トラブルクッキング…?

ついこの前友人のMさんが、日本に一時帰国した時サモサ(スナックの一種)を作ってと頼まれ、作り方が分からず困ったという話をしてくれたが、それを聞いて思わず「うーん」と考えてしまった。あと2ヶ月強に帰任が近づいている私も、日本に帰れば同じような目に遭う可能性が充分以上に考えられる。サモサやシンガラ(これもスナックの一種)調理を頼まれたら「揚げ物は苦手だったので…」と食べなかったことにしてしまえばなんとかなるが、カレーは「一度も食べませんでしたから」とは、とてもじゃないが言えない。ウソつき呼ばわりされるに決まっている。

では、日本に帰ってからカレー調理をしなくてはいけない場面が出てきたとしたらどうする?2年4ヶ月の間に、見聞きしてきた断片的な情報をかき集めたらどうにかなるだろうか。いや、だめだろう。あれは仕事に退屈して、お茶を飲みながら事務所の料理のオバちゃんちゃんたちとお喋りをする時に、あくまでも社交辞令として聞いた「どうやって作るの?」だったのだ。自分で作るつもりがなくて尋ねているから、情報はあるが体系化されていない。そうでなくても最近料理の腕が落ちているという自覚があるのに、こんな状態ではカレー作りは無理だろう。

私の住む首都ダッカには沢山のレストランがあり、フレンチ、イタリアンからメキシカン、日本料理にタイ、中華料理などが揃っているし、ファーストフードの店も数多くある。が、正直言ってそれほどおいしくない、というか、3、4年前に出張で来たときは明確に「まずい」と感じたものだ。しかし、ダッカに暮し、友人と食事をするのが娯楽の王者という環境にある今では、贅沢など言ってられず、持ち駒の中から(比較的)美味しい、店の人の感じが良いなどを基準に選ぶしかない。そんなこんなで妥協の2年を過ごしてきたら、美味しいものが作れなくなってしまった自分がいたのである。

つくづく思うのが「磨かなければ味覚は落ちる」ということだ。味覚が落ちれば料理の腕も当然落ちる。そしてもう一つ。気候によっておいしいという感覚も変わる。和食は日本の空気の中で食べてこそおいしいのであって、例えばバングラデシュの農村で生ウニ出されても、それがすりたての生わさびを付けたしょう油と一緒であってもおいしいと思わないだろうし、反対にバングラデシュのカレーは、この湿度90%、人口密度200%のここで食べてこそウマイのだと信じる私は、おそらく日本でバングラデシュカレーを食べることを自分からは試みもしないだろうと思うのだ。

ということで、帰国直後の私からカレー作りを学ぼうなどという期待はしないでおいてくださいね、皆さん。

(2003年7月3日)

バックナンバー

第一回:秋がやってきた(2002/10/25)
第二回:憧れの旅人〜南インドへ〜(2003/2/20)
第三回:これって失敗?(2003/2/23)
第四回:トラブルクッキング…?(2003/7/3)
第五回:食事に気を遣うのは男性!?(2003/8/27)
第六回:バングラデシュこんな事、あんなモノ(2003/9/30)

藤ア文子(ふじさきゆきこ)
ストリートチルドレン支援活動の担当や、現場での活動の様子を日本の支援者の方々へ伝えたり、日本からの訪問客の対応等を行う。

 

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