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これって失敗?
南インドの大都市チェンナイからポンディチェリーへは、バスで約3時間。フランス植民地の面影が残るこの街にやってきたのは、旅に出てから2日目のこと。前回書いたようにバングラデシュにはない「何か」を求め南インドに足を伸ばした私だったが、実はこの思惑大外れだったのではないかと気持ちになりかけていた。女性はサリーかサロワカミューズを着ているし、食事は全部カレーだし、なんでも値段交渉はしなくちゃいけないし(ボる人が多い)、人々の容姿もあまりバングラデシュ人と変らない、オマケにバスから見た風景は見渡す限り平らだったし…。気分転換になるどころか、バングラデシュにいるような錯覚すら感じはじめていた。
誤解を招く恐れがあるので、バングラデシュの何が不満なのかをここで説明しておく。
ちなみに私はバングラデシュでの生活を楽しんでいる(と思う)。民族衣装を着るのも、リキシャに乗るのも、カレーを手で食べるもの、バザールで値段交渉をしながら野菜を買うのも、家の近くの雑貨屋で卵や牛乳を買って、店の人と他愛もないおしゃべりをするのも楽しい。
が、なんと言ってもそこはバングラデシュ。一人でお茶をする場所がある訳でなし、ブラブラと外を歩いてウィンドーショッピングを楽しむ場所も少ない。もともとコミュニケーションが密なうえに、外国人、女性、そして独身と3拍子揃った私にに皆の耳目が集まってしまうのは当然の成り行きで、「この前○○バザールで果物買ってただろう」とか「久しぶりだね。日本に帰っていたのか」「△△方面で見かけたが、事務所があるのか」という具合。コミュニティの目があることで、守られているという実利はあるのだろうが、名もない誰かになってしまいたい…と思ったことは一度や二度ではない。
ということで、インドの観光地であれば単なる旅行者として、ショッピングをしたり食事を楽しむことができるだろうと期待して行ったわけだ。
さて、ポンディチェリーはどのような場所だったかというと、一言でいうと正解。 海岸に近い一画にフランス風の家並みが残り、お洒落な雑貨屋が街のあちこちにあり、一人でディナーを楽しめるレストランもあった。バングラデシュと違ってお酒もオーダーできる。あ るレストランに入ってバンガロー風の2階に座りイカの白ワインソース煮やスープを頼んだ時は、やったこれだ!と本当に呟いた。海から吹いてくる風が涼しく、薄暗い街灯がフランス風の家並みを照らしているのを心ゆくまで堪能した。のんびりとポンディシェリーで過した後、巨岩遺跡で有名なマハバリプラムを訪問し、満足と伴に8日の旅は終わった。
しかし不思議なことに、乗り継ぎの関係で一泊したコルカタに到着した途端、「あー帰ってきた」とほっとしていた。車やリキシャが入り乱れごちゃごちゃとした街並、恐ろしいほどの人口密度。それを見ながらホテルの迎えの人に、すごい勢いでベンガル語で話しかけていた。ベンガル語を話す日本人にびっくりする彼に、口をついて出た「だって私の故郷だもん」という言葉に我ながら驚きつつ、バングラデシュと私が切ってもきれない仲になっていることを改めて実感していた。
写真4)
南ヨーロッパではありません。(ポンディチェリー)
写真5)
ジャスミンの花を紐で括った髪飾りを売る女性。1ハタ(中指の先からひじまで、18インチまたは45cm)5ルピー(チェンナイ)
写真6)
花の種類、飾り方によって既婚、未婚、募集中などのメッセージが伝えられる(チェンナイ)
(2003年2月23日)
第一回:秋がやってきた(2002/10/25)
第二回:憧れの旅人〜南インドへ〜(2003/2/20)
第三回:これって失敗?(2003/2/23)
第四回:トラブルクッキング…?(2003/7/3)
第五回:食事に気を遣うのは男性!?(2003/8/27)
第六回:バングラデシュこんな事、あんなモノ(2003/9/30)
藤ア文子(ふじさきゆきこ)
ストリートチルドレン支援活動の担当や、現場での活動の様子を日本の支援者の方々へ伝えたり、日本からの訪問客の対応等を行う。 |
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