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秋がやってきた

藤崎文子駐在員の日記といってもバングラデシュの秋だから、木々の葉が赤や黄色に染まるとか、栗や柿といった秋の味覚が店に出回る、という日本の感じではない。どんよりと曇って今にも泣き出しそうだった(というかいつも大粒の涙を流していた)空が、澄んだ青い空になり朝晩の気温が下がってくることで実感する秋だ。

降りしきる雨の中で青々と葉を茂らせていた木が、花を咲かせ始めた。日本の花の名前も知らない私は、バングラデシュの花を見てもまったく判らない。そんな私でも唯一名前を言えるのが、ベンガル人の友だちに教えてもらったゴンド・ラージという花だ。5pくらいある肉厚の白い花で、ゴンド(香り)ラージ(王様)というくらいだから、とても強い香りがする。くちなしの花に似ているようだが本当のところは良くわからない。

リキシャ(自転車の後部に座席を作り人を運ぶ乗り物)に乗って事務所への往復をしていると、ゆっくり進むのと視界が高いことで、道の人の様子が良く見える。

数日前、10歳くらいの女の子二人がサロワカミューズ(ワンピースのような長い上着とズボン、スカーフ、バングラデシュの民族衣装)の裾に何らや拾っては入れていた。「なんだろうな?」と思ってリキシャから眺めていたら、ふと花の甘い香りが漂ってきた。見上げたら大きな木に金木犀くらいの小さな白い花が沢山咲いていたので、恐らく落ちた花を拾っていたのだろうと想像した。何のために花を拾っていたのか知る由もないが、とても幸せな気持ちになって事務所に着いた。

これから4月まで雨のほとんど降らない乾燥した季節が続く。木々は葉を落とし、厳しい時間を過すことになる。それでも2月になれば春の花が咲き、季節の変わりを知らせる嵐がもたらす雨を喜ぶかのように木々は芽吹き、自然の営みとはなんと力強いものだろうと感心させられる日々である。

(2002年10月25日)

バックナンバー

第一回:秋がやってきた(2002/10/25)
第二回:憧れの旅人〜南インドへ〜(2003/2/20)
第三回:これって失敗?(2003/2/23)
第四回:トラブルクッキング…?(2003/7/3)
第五回:食事に気を遣うのは男性!?(2003/8/27)
第六回:バングラデシュこんな事、あんなモノ(2003/9/30)


藤ア文子(ふじさきゆきこ)
ストリートチルドレン支援活動の担当や、現場での活動の様子を日本の支援者の方々へ伝えたり、日本からの訪問客の対応等を行う。

 

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