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ラマダン(断食月)が始まった
イード前のそわそわした季節
バングラデシュでは10月6日からラマダン(断食月)が始まりました(註1)。イスラム教徒が人口の9割近くを占めるバングラデシュ。ラマダンとそれに続くイードのお祭りを控えたこの時期は、なんとなく皆そわそわとして特別な雰囲気があります。
ラマダンはイスラム暦に基づいて決まるので、毎年10日ずつぐらい前にずれていくのですが、今年はラマダンが始まる時期と、ヒンドゥー教徒が祝うドゥルガー・プジャのお祭りが重なり、ますますホリデー気分。ちなみにバングラデシュではイスラム教の祝日のみならず、ヒンドゥーのドゥルガー・プジャも、キリスト教徒の祝日クリスマスも国民の休日です。新聞の家庭面にも「ドゥルガー・プジャを迎えるお料理」と「ラマダンを健やかに過ごすには(註2)」の記事が並んでいたりします。ダッカ事務所でもスタッフたちはお互いの宗教習慣を思いやりながら仕事をしています。
バングラデシュ人が一年中で一番買い物するのもラマダンの時期。イードには新しい服を着、贈り物をする習慣があるので、マーケットは賑わい、ショッピングモールはクリスマスのように電飾の飾りつけがされ、衣料品店では「イード・コレクション」の新しいファッションが発表されます。大きなお金が動く時期なので、強盗などに備えて警察の警戒態勢も強化されます。
昨年のイードのときのことを中森前駐在員も書いているので併せてお読みいただきたいのですが、ダッカ事務所はこの時期通常9時〜5時の勤務時間が4時までになり、お昼休みも30分に短縮します。イスラム教徒のスタッフたちは日の出から日没まで水も食事もとらないので、いつもは賑やかなダッカ事務所の食堂も、日本人とヒンドゥー教徒、キリスト教徒のスタッフだけで、人数は半分。断食中のスタッフたちへの遠慮もあってちょっと静かなランチタイムです。4時になると皆さよなら〜と早々に帰っていきます。
ラマダン中にイスラム教徒のスタッフと出張に行くと...
イフタールを売る屋台
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イフタールを食べるCOLIスタッフ
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イフタールを食べるCOLIスタッフ
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COLIのイフタール
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断食中の寡婦グループの女性たち
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こんなラマダンの最中、マイメンシン県にあるパートナー団体のCOLIへ出張に行きました。COLIのフィールドスタッフたちの多くも日中は断食。夕方5時過ぎになると皆そわそわし始め、5時20分には食堂に集まってパチッとテレビをつけ、5時半過ぎ、日没のアザーンが聞こえると楽しいイフタール(断食明けの食事)の時間です。面白いのはこの時期、テレビでもアザーンが流れること。イフタールの時間になると、テレビ画面が切り替わり、モスクの映像やメッカのカーバ神殿の映像をバックにアザーンが響くのです。断食をしていない私たちもお相伴にあずかります(イフタールの中身については中森元駐在員の日記参照)。加えて飲み物の定番は砂糖たっぷりのレモン水。乾き切ったのどにはこれがおいしいんでしょうね。
その晩はCOLI事務所のゲストルームに泊まり、明け方4時半ごろ。いやー、うるさい、うるさい。皆大騒ぎしながら断食に入る前の食事を食べている模様。明け方はどんなものを食べるのか見てみたかったけど、眠くてパス。朝普通に起きると辺りはやけに静か。明け方起きてまた寝るので、皆さん起床はちょっと遅めなのでした。
フィールドでは夫を亡くした女性グループのおばあさんたちや、ちょうど最終試験の日だった識字クラスなどを訪問。おばあさんたちもやせて弱々しい人まで断食中。「お年寄りは断食しないでいいことになっているのになぜ?」とスタッフに聞いたら、「そうはいってもお年寄りほど信心深いし、断食すれば食事の回数も減らせるから」という返事に複雑な気持ち。識字クラスの試験参加者もみんな断食しながらがんばっていました。
仕事を終え、帰途についたのは午後2時すぎ。イフタールの時間にダッカに帰りつけるか微妙な時間です。車に乗っているメンバーはダッカスタッフのバリとCOLIの代表のイスラム(この2人はイスラム教徒)、運転手のミロン(キリスト教徒)、そして小嶋駐在員と私という5人。この帰りの車中を再現します。
<午後4時 街道沿いのバザールを次々通り過ぎながら>
- イスラム:
ねえ、どうするどうする。次のバザールで買い物する?
- バリ:
それより急いでダッカに帰ったほうがよくないか?
- イスラム:
絶対間に合わないよ。次のバザールにちょっと有名な菓子屋があってイフタールの屋台を出してるからさ、そこで買ってさ、車の中で食べたらいいじゃない。
- バリ:
うーーん、そうするかねえ。
<午後4時半 バザールでの食料購入終了。車中は椰子の実だらけ。>
- イスラム:
さー、しっかり買ったぞ。この椰子の実はね、アパ。8タカだったよ、8タカ。ダッカで買ったら16タカよ、普通。半額だよ半額。
- 小嶋:
こんなに買っちゃってどうするんだろうね...。
<午後5時すぎ 窓の外は夕焼け>
- イスラム:
もうちょっとしたらさ、路肩に車止めてね。
- ミロン:
この辺道が悪くてほこりっぽいよ。
- イスラム:
だからさ、もう少し先でいいよ。この車ラジオあったっけ?
- ミロン:
ラジオは調子悪いんだよ。
- バリ:
窓を開ければ聞こえるよ。
<午後5時35分>
- イスラム:
そろそろだな。ナイフある?(椰子の実に穴を開けてストローを挿して全員に配る)わっ、汁が飛び出た。はい、これアパの分ね。
- 藤岡:
あ、聞こえたよ、聞こえるよ、アザーン。
- イスラム:
車止めて、止めて。
- ミロン:
はいはい。(車を止める)
- 全員:
(椰子の実ジュースを飲み、イフタールを食べる。確かにこのお菓子屋のイフタールはおいしい。イスラム教徒のふたりはとくに幸せそう。)
- イスラム:
小嶋バイ、もう一個椰子の実いく?
- 小嶋:
いや、いいよ。(実はきのうインタビューした村人からコップ2杯振舞われてもううんざりしている)
- 小嶋:
わっ。辛い!野菜揚げにカチャ・モリーチ(青唐辛子)が入ってた!ひーひー。すーはーすーはー。
- 一同:
爆笑。
- イスラム:
小嶋バイ、だからほら、椰子の実ジュース飲みなよ。
- バリ:
甘いジラピーを食べたら。
- 小嶋:
わかった。ほんとはどっちもうんざりなんだけど...
なんとなくラマダン中の雰囲気が伝わったでしょうか?さて、私も甘くて油の多いイフタールの食べすぎにに注意しなければ...。
註1:
お月様次第では5日から、ということもあり得たのですが、5日の夜にバングラデシュ上空は曇りで、新月が観測されなかったため、お月見委員会(National
Moon Sight Committee)が6日からラマダン、という決定をくだしたものです。だから国によってラマダン開始日はずれたりするのです。
註2:
「ラマダンが始まる前にイフタール用の食料を買いこんでおきましょう。健康診断を受けておきましょう。とくにお年寄りは重要。家に使用人がいる場合は、仕事量が多くなりすぎないよう気をつけ、時々休憩をとらせましょう。カーテンの洗濯など重い仕事はラマダン前にやっておくべきです。妊婦は断食をしなくてよいことになっていますが、問題なければ断食してもかまいません。医師のアドバイスを受けましょう。断食初心者の子どもは週2回から3回の断食で十分です。イフタールには子どもの好物を用意してあげましょう。日没から夜明けまでの間に十分に水を飲ませること。子どもが断食する場合は、学校の先生にも知らせておきましょう。家族のお祈り用の敷物はラマダン前に洗っておきましょう。普段は毎回お祈りしない人でもこの時期はよくお祈りをするものです。食事は重くなりすぎないよう気をつけましょう。バナナなどのフルーツをよく採りましょう。この聖なる月は食生活を見直して体重調整をするチャンスでもあります。」(Daily
Star別冊Lifestyle10月4日号より)
(2005年10月27日追加)
バッグナンバー
第一回:急速に変貌するダッカ(2005/6/14)
第二回:そぞろ歩きはダッカ市民の楽しみ(2005/06/25)
第三回:ベンガル語と格闘しつつ仕事開始!(2005/08/07)
第四回:土曜の午後はプロボルトナで(2005/08/07)
第五回:ジュート収穫の季節(2005/09/08)
第六回:ラマダン(断食月)が始まった(2005/10/27)
第七回:パキスタン大地震、バングラデシュでの反応は?(2005/11/01)
第八回:若者が始めた「我らバングラデシュ」バンド(2005/11/30)
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