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駐在員日記(藤岡)

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ジュート収穫の季節
農村の風物詩、ジュートを干す光景

ジュートから繊維を取り出す作業 バングラデシュの特産品といえばまず名前があがるジュート。シャプラニールでも今、ジュート・レジバッグ・キャンペーンを実施中ですが、8月から9月にかけてのこの時期、バングラデシュの農村ではジュートから繊維を取り出す作業がいよいよ大詰めを迎えます。

青々とした7月のジュート畑
干したジュートの芯
干した繊維を束ねる

7月には背丈をはるかに越えるジュートが青々と茂っていた畑も、今はほとんど刈り取られ、時々背の高い草を畑で見かけてジュートかなと思うと、べつの草だったりします。(名前を忘れましたがこの草は薪がわりに使われ、そのまま腐らせると肥料になるそう。)

刈り取ったジュートの茎は池や川の水に浸して腐らせ、繊維を取り出します。残ったジュートの芯は支柱に渡した横木に両側から立てかけたり、芯どうしが寄りかかるように円錐形にぐるりと立てかけたりして乾かすのですが、これはこの季節のバングラデシュ農村どこでも見られる風物詩。ダッカ郊外のシャバールにある独立記念塔の独特のデザインも、干したジュートの形からヒントを得たと言われています。

ジュート収穫の季節を体感したのは先日ポイラへ行ったときのこと。マニックゴンジ県ギオール郡のポイラ村は、シャプラニールのプロジェクト地の中でももっとも古くから活動している場所で、かつての現地事務所はSTEPという現地NGOとして独立、今はシャプラニールのパートナー団体として活動しています。

ポイラへ行くにはダッカからアリチャ・ロードと呼ばれる街道で北から東へ向かい、途中から右の脇道へ入り、突き当りの市場の奥から川を渡ります。以前この川にかかっていた橋が洪水で落ちてしまい、今は人も自転車も渡し舟で向こう岸に渡ります。

いつもはそれほど人もなく静かなこの渡し場が、先日は大変な数の人で賑わっていました。スタッフに確かめると今日は市の日だとのこと。次から次へと船が岸に着き、束ねたジュートの繊維を担いだ男たちが市場や別の船に荷を運び込んでいます。この日はカメラを忘れて後悔することしきり。ジュート収穫期の活気付く市の様子を撮りそびれてしまいました。

ポイラは洪水の被害の多い場所で、去年のこの時期はSTEPの活動地でも大変な被害が出たのですが、今年は幸い、水が来るのが遅く、しかも少なめ。それでもこの季節には数ヶ月前には水がなかったところに川ができ、ノウカとよばれる小船でジュートなど収穫物を容易に運ぶことができます。ほどほどに「水が来る」ことはこの地の農業にも生活にもなくてはならないもの。でも、それがある範囲を超えてしまうと、それは「洪水」となり災害となるのです。

モロヘイヤってジュートだったの?!

ジュート畑と子どもたち恥ずかしながらこの地へ来るまで知らなかったのですが、モロヘイヤとジュートはとっても近い親戚です。最初にそれを知ったのは、休日何気なく「バングラデシュを知るための60章(明石書店)」を読んでいたときのこと。パラパラめくった161ページ。「ジュートの葉は野菜として食べられ、近年日本でもモロヘイヤとして食卓にのぼるようになっている。」と書いてあるではありませんか。

ジュートの葉を野菜として食べることは知っていましたが、それがモロヘイヤとは私の中ではまったく一致しておらず、大げさですが「ジア首相ってクレオパトラの親戚なんですってよ」と言われたぐらいの衝撃を受けました。

だってモロヘイヤといえば、「カロチンはほうれん草の数倍、クレオパトラも食べていたエジプト原産神秘の野菜」とか言って売り出されていませんでした?麻袋の材料のジュートとはどうにも響きが違います。まだ信じられない私は手元の電子辞書の広辞苑でまず「モロヘイヤ」を引いてみました。

【モロヘイヤ】シナノキ科の多年草。東地中海の原産といわれ、旧大陸の熱帯で広く栽培。草丈25〜30センチメートル。花は黄色の五弁花。若葉は粘液があり、食用とする。カルシウム・カロテンに富む。シマツナソ。

「シマツナソ」ってなんだ?と思いましたが、続いて「ジュート」を引いてみると、「綱麻(つなそ)」の項を参照と書いてあります。

つなそ【綱麻】シナノキ科の多年草で栽培上は一年草。インド原産。繊維作物でベンガル地方が主産地。茎は高さ1メートル内外。(中略)黄色5弁の芳香ある小花を開き、刮ヤ(さくか)を結ぶ。繊維(ジュート)で粗布を織り、コーヒー・綿花などの袋(南京袋)を作る。漢名、黄麻(こうま)。

うーむ、どちらもシナノキ科で黄色の五弁花。やはりこの二つは姉妹ともいえる近さのようです。背丈が微妙に違いますが、これはモロヘイヤもいろいろあるジュートの一種、ということが言えそうです。

ポイラからの帰り、渡し舟で川を渡りながら、同行したダッカ事務所スタッフのポリモールとSTEP代表のションジョイにこのことを聞いてみました。

  • 藤岡:ジュートの葉っぱって食べられるんだよね?ゆでるとねばねばする?
  • ポリモール:んー、そうだね、ねばねばするね。
  • 藤岡:どうやら日本でエジプトの野菜として売ってるモロヘイヤってジュートの一種らしいんだけど、ジュートの葉っぱっておいしい?
  • ションジョイ:なんだ、アパ、言ってくれればうちの事務所に来たときお昼に出してあげたのに。今はもう季節が終わっちゃったけど、バジ(野菜炒めカレー)にして食べると美味しいよ。
  • ポリモール:ジュートにもいろいろ種類があって、味も違うんだよ。僕が学生時代にいたマイメンシンのジュートの葉はおいしくて有名だよ。学生時代はジュートの葉っぱ炒め、よく食べたもんだよ。ポイラあたりのジュートはちょっと苦味があるね。
うーん、なるほどジュートにもいろいろあるんですね。地方ごとに違う四季折々のジュート。これから村に行くたびによく観察したいと思います。

(2005年9月8日)


 バッグナンバー

第一回:急速に変貌するダッカ(2005/6/14)
第二回:そぞろ歩きはダッカ市民の楽しみ(2005/06/25)
第三回:ベンガル語と格闘しつつ仕事開始!(2005/08/07)
第四回:土曜の午後はプロボルトナで(2005/08/07)
第五回:ジュート収穫の季節(2005/09/08)
第六回:ラマダン(断食月)が始まった(2005/10/27)
第七回:パキスタン大地震、バングラデシュでの反応は?(2005/11/01)
第八回:若者が始めた「我らバングラデシュ」バンド(2005/11/30)

 

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