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土曜の午後はプロボルトナで
〜自然素材・女性・文化にこだわったひと味違うNGOショップ〜

比較的時間があった語学研修中の土曜日、午後遅めにふらっとどこか近場に出かけようかな、というとき、まず足が向くのはプロボルトナでした。シャプラニールの事務所から徒歩5分ほどの距離で、その頃まだ家が決まらず事務所の2階に住んでいた私にはちょうどよい散歩コースだったこともあります。

「プロボルトナ」を辞書で引くと、initiation, inducement, inspiration, motivation, encouragement…といった訳語が並んでいます。要は、「創造」とか、「行動ややる気を起こさせること」とか、内側からふつふつとポジティブな力が沸いてくるような意味をもつ言葉のようです。

母体となっているのはUBINIG(ウビニク)というNGO。UBINIGは、化学肥料も殺虫剤も使わず、環境を守りながらベンガルの土地に合った農法を探る、ノヤ・クリシー・アンドロン(新しい農業のための運動)や、近代的な織物工場に押され、だめになりかけたタンガイル地方の伝統的な綿織物業を復興させたことで知られ、その活動では女性たちが大きな鍵を握り、運動の推進力となってきました。こうした活動の中で生産されたものを販売したり、女性がもっと社会と接し、発信していくためのスペースが必要だということでプロボルトナが生まれたそうです。

プロボルトナのライブラリープロボルトナは様々な機能をもつ、女性にうれしいスペースです。1階に無農薬栽培の果物やマスタードオイル、アチャール(ライムやマンゴーなどの酸っぱ辛い漬物)、豆類、穀類などを売っているお店、2階はサルワール・カミーズやサリーの売り場、3階は布地や手漉き紙の売り場とジェンダー関係の本が充実したライブラリー(販売書籍もあり)、4階は無農薬の食材を使ったスナックを出すカフェとイベントスペースです。

ここで売っている布地は、素朴な色合いがきれいなしっかりしたコットンの織り地が中心で、次に仕立てるサルワール・カミーズをどうしようかと考えながら色とりどりの生地を眺めていると、時間がたつのを忘れてしまいそう。地元の女性はもちろん欧米人の女性もよく見かけます。3階にあるライブラリーは、かつて女性センターのライブラリーに勤務していた私にとっては、とても身近に感じられる場所。まだベンガル語がろくに読めないので英語の本にしか手が出ないのが残念ですが、バングラデシュの社会問題に関する本などと一緒に、女性たちの詩集やポスター、バングラデシュ人作家による写真集、音楽CDなどもあります。

そして4階のカフェは、女性だけで外食することがまだ少ないバングラデシュで、女性が友人や家族と来て安心してくつろぐことができ、美味しいランチやお茶の時間を楽しめる空間を、ということで始められたもの。ここで働いている人もほとんどが女性です。内装はいたって質素ですが、一人でゆっくりできるこのカフェはとても貴重。そして特筆すべきはここのキャラメル・カスタード。素材がよいせいか、そんじょそこらの高級ホテルやレストランのプリンよりずっと美味しいのです。プリン大好きの私はそれだけでもこの近くに住みたいと思ったぐらい。お茶も大きなポットで出てくるので本など読みながら何度もお代わりできます。

地域に根づいた週末文化イベント

そしてカフェにつながるフロアにはちょっとしたイベントができるスペースがあります。
毎週月曜日は午後4時から女性なら誰でも参加できるおしゃべり会。毎週土曜日の夕方は音楽やダンスなどの文化イベントがあり、女性に限らず誰でも楽しむことができます。観客席は茣蓙の上に裸足でぺたりと座る気楽なスタイルです。

イベントスペースで歌う子どもたち先日私が立ち寄った土曜日の午後は子どもたちの音楽発表会でした。おそろいの衣装に身を包んだおしゃまな女の子や小さな男の子たちが、楽団の演奏に合わせて元気に歌っていました。この日は伝統歌謡も流行歌も混ざったプログラム。中でもひときわ小さな男の子と女の子が、掛け合いのラブソングを踊りながら歌うと観客は笑って手をたたいて大喜び。常連さんもいるようで、この週末文化イベントが地元の人たちに親しまれていることを感じます。

このプロボルトナの母体、UBINIGの楽団が、実は8月13日から、「愛・地球博」でシャプラニールが出展している「バングラデシュの刺しゅう館」に登場します。飛行機に乗るのが始めてという人ばかりで、ちゃんと日本にたどりついてくれるか送り出す側としては心配ですが、オリエンテーションも無事終了、いよいよ今週出発です。楽団メンバーの中には時々プロボルトナの生地屋さんで生地を切ってくれるおじさんも。音楽だけで身を立てているプロ集団ではありませんが、だからこそバングラデシュの人々の中にしっかり根づいた、「普段着のベンガル音楽」をお楽しみいただけるはずです。皆さまぜひ、足をお運びください。

(2005年8月7日)

バックナンバー

第一回:急速に変貌するダッカ(2005/6/14)
第二回:そぞろ歩きはダッカ市民の楽しみ(2005/06/25)
第三回:ベンガル語と格闘しつつ仕事開始!(2005/08/07)
第四回:土曜の午後はプロボルトナで(2005/08/07)
第五回:ジュート収穫の季節(2005/09/08)
第六回:ラマダン(断食月)が始まった(2005/10/27)
第七回:パキスタン大地震、バングラデシュでの反応は?(2005/11/01)
第八回:若者が始めた「我らバングラデシュ」バンド(2005/11/30)

 

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