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Home > 現地からの便り > 藤岡駐在員編
バックナンバー

ベンガル語と格闘しつつ仕事開始!

こちらに来てから早や3ヶ月。1ヶ月のベンガル語研修と業務引き継ぎを終えて、7月17日から所長の任につき、もうひと月近くがたとうとしています。前所長の白幡職員もその前の所長の筒井職員もバングラデシュ駐在2度目、3度目のベテランだったので、私のような初駐在で所長というパターンは久しぶり。ダッカ事務所は会議も業務で使う言葉もほとんどがベンガル語です。総務担当やプログラム・オフィサーは英語ができるのですが、ここですべて英語にしてしまっては私のベンガル語も上達しない、ということで、なるべくベンガル語、ダメなら英語、という形で仕事をしています。7月中旬には中森駐在員の後任、小嶋職員も赴任してきて、ダッカ事務所は一時的に日本人駐在員4人になり、出張者も来て賑わっていたのですが、7月末に白幡職員が帰国。いま日本人は3人です。

ヒヤリング第一の難関・朝のミーティング

我がダッカ事務所の朝は9時スタート。毎朝スタッフのスケジュール確認のミーティングから始まります。最初はこのミーティングで皆が言うことが聞き取りにくくて苦労しました。天井のファンはブンブン回ってうるさいし、「ゆっくり、はっきり言ってね」と念を押しても、どうにも聞き取りにくいしゃべり方をするスタッフが数名いるのです。

藤岡:(一応ベンガル語で)「では朝のミーティングを始めます。ではDさんから今日のスケジュールをシェアしてください。」
D:(手帳に目を落としながら早口で)「アアジ、アミ(今日、私は).....コルテホベ(しなくてはならない)」
藤岡:「え?」
D:「....コルテホベ」
藤岡:(一応ベンガル語で)「うう、もう一度ゆっくり言ってもらえます?」

こんな調子で、何度も言い直しをさせられ、ダッカ事務所のスタッフも大変でした。「アパ、(お姉さん、の意。女性に対して呼びかけるときに使う言葉。私はここでは「エミコアパ」です。)大丈夫、2週間もすれば聞き取れるようになるよ」と言われ、本当かなあ、と思っていましたが、確かに仕事の流れがわかればミーティングで言うことなど決まっているので、今はだいたいわかるようになりました。

バングラデシュなまりのベンガル語

バングラデシュの公用語、ベンガル語は、インドの西ベンガル州などでも使われている言葉です。なので、ダッカ事務所のスタッフは出張でインドのコルカタなどへ行っても言葉が通じるわけですが、コルカタあたりのベンガル語とダッカのベンガル語には微妙な違いがあります。とくに顕著なのは、現在進行形の動詞の語尾。教科書では「私は〜しています」の語尾は「コルチ」、「彼・彼女は〜しています」の語尾は「コルチェ」と習いますが、実際に多くのバングラデシュ人が使っている言葉は「コッテシ」「コッテセ」というものです。

ベンガル語研修を終え、引継ぎの一環として最初にこの事務所の月次会議に参加したときは、ふふっと笑いそうになりました。「コッテシ」とか「コッテセ」というのが、なんとなく、「そういうこってす」とか「そういうことでっせ」とかいう感じに聞こえるのです。イメージ的に再現すると、

白幡:そろそろ会議を始めましょう。A職員は休みですか?
ダッカスタッフ:お子さんが病気で、午前中病院に行くというこってす。
白幡:B職員はまだ電話中ですか?
ダッカスタッフ:今来るっす。

これはあくまで私の勝手なイメージで、実際「コッテシ」とか「コッテセ」というのがどんな響きなのかはよくわかりませんが、バングラデシュのベンガル語に慣れてからコルカタなどでしゃべると、「あんたバングラデシュから来たでしょう」とすぐわかってしまうそうです。(そんなインド人もなんだかスノビッシュ。)中森駐在員などは「みんながコッテシとかコッテセとか言ってる中で、たまにコルチなんて言う人がいると、それだけでかっこいい。都会の風を感じちゃう」そうです。

伝えようとする気持ちの真剣さ

ドロップイン・センターの子どもたちまだカタコトのベンガル語ながら、フィールドに出たときは、ストリートチルドレンや村の人たちと、できるだけベンガル語で話すように試みています。そんな中で心からすごいと感心したのは、ストリートチルドレンである子どもたちのコミュニケーション能力です。シャプラニールが現地NGOのオポロジェヨ・バングラデシュをパートナーとして運営している青空学校やドロップイン・センターを訪ねると、子どもたちは「アパ、名前なんていうの」「兄弟は何人?」「いつバングラデシュに来たの?」と人懐こく寄ってきます。そんな中で一人の女の子が、ドロップイン・センターでのグループワークの時間、今どんな活動をしているのか、私の手を引っ張って、ひとつひとつ案内してくれました。「今、5つ輪があるでしょう。ここでは、ひとつのグループがひとつのことをしているの。このグループは、英語の勉強。こっちのグループは、最近あったことについて絵を描いているの。」

その話し方のスピード、言葉の選び方、わかりにくいことは繰り返して話す話し方が、私にはどんなおとなの説明よりわかりやすく、瞬時に私の語学力を見て取って適切に話せるこの子の力にとても感心しました。ほかの子どもたちも、一生懸命私にわかりやすいように話をし、話が通じると心底喜びます。白幡職員にその話をすると、「伝えようとする気持ちがきっと子どものほうが真剣なんだろうね」と言っていました。

ベンガル語で自由に話す力、聞き取る力を早く身につけたいと思います。でももしかしたらそれ以上に私たちに必要なのは、「真剣に伝えようとする気持ち」や「相手の伝えたい気持ちを受け取れるアンテナ」なのかもしれません。

(2005年8月7日)

バックナンバー

第一回:急速に変貌するダッカ(2005/6/14)
第二回:そぞろ歩きはダッカ市民の楽しみ(2005/06/25)
第三回:ベンガル語と格闘しつつ仕事開始!(2005/08/07)
第四回:土曜の午後はプロボルトナで(2005/08/07)
第五回:ジュート収穫の季節(2005/09/08)
第六回:ラマダン(断食月)が始まった(2005/10/27)
第七回:パキスタン大地震、バングラデシュでの反応は?(2005/11/01)
第八回:若者が始めた「我らバングラデシュ」バンド(2005/11/30)

 

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