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駐在員の日記(藤岡)

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若者が始めた「我らバングラデシュ」バンド

「我らバングラデシュ」バンドほっとけない世界のまずしさキャンペーン」で日本でもおなじみになったホワイトバンド。ダッカでもホワイトバンド・キャンペーンらしきポスターを見かけたことがありますが、実際にホワイトバンドをしている人は見たことがありません。ほっとけないどころか世界のまずしさそのものがある当事者の国だもんね、ここは...などと思っていたのですが、しかし!7月ごろのある日、うちの大家(女性)に家賃を払いに行くと、彼女がしていたのです、ホワイトバンドならぬ赤と緑の見慣れないリストバンドを。なんだろうあれは?と思いつつ聞きそびれたのですが、後日このバンドの正体が判明。これは海外留学中のバングラデシュの若者たちが始めた「我らバングラデシュ・バンド」なるものだったのです。

赤と緑はバングラデシュの国旗の色で、バンドの表にはベンガル語と英語で「アムラー・バングラデシュ(我らバングラデシュ)」と書いてあります。仕掛け人はロンドン、カナダなどに留学中の5人のバングラデシュ人の若者。そもそもこういうカラー・バンドのキャンペーンは、2003年にランス・アームストロング・ファンデーションが行った、癌と闘う人たちのためのイエローバンド・キャンペーンが発端で様々なキャンペーンに応用されていったらしいのですが、彼らも留学先でこれを知り、影響を受けたのでした。

「我らバングラデシュ」バンド5人のうちの1人でロンドンに留学中のラフィンは、英字紙デイリー・スターのインタビューに答えてこう話しています。「最初に僕らがこのアイディアを思いついたのは、ナイジェリア人の女の子がナイジェリアの国旗の色に"making progress"と書かれたリストバンドをしているのを見たからなんだ。インドから留学中の友人と僕は、それぞれ自分の国のためにバンドを作ろうと決めたのです。」

彼らは「プロジェクト・バングラデシュ」の名でウェブサイトも立ち上げ、バンドが買える店や売り上げを寄付する先を紹介しています。バンドの値段は1コ100タカ(約170円)。売っているのはダッカとチッタゴン市内の高級レストランや本屋、ミュージック・ショップ、スーパー・マーケットなど。新しもの好きで、ある程度お金のある人が行くような店です。(ちなみにダッカでは50タカあれば肉入りカレーが食べられます。100タカのリストバンドはかなり余裕のある人でないと買わないでしょう。)バングラデシュのクリケット・チームやロック歌手などのアピールもあり、このバンドを置いている店はじわじわと増えている模様です。

今のところ寄付先としてあがっているのは硫酸被害者(バングラデシュでは女性の顔や身体に硫酸をかける、という形の暴力があります)の支援団体、孤児院、そして洪水の救援です。8月には既に10万タカ(約17万円)相当以上の寄付を3つの孤児院に送ったとのこと。現金だけでなく、孤児院に必要な物品に換えての寄付が多かったようですが、その中には企業から寄付されたペンもあったそうです。

このムーブメント、チャリティーの域は出ていないものの、バングラデシュの若者たちがバングラデシュ人に呼びかけて自国の問題解決のためにファンド・レイジングをし、自分たちで選んだNGOに寄付する、という点では画期的だと思います。バングラデシュ国内の企業が関心を持っているというのも、興味深いことです。海外で愛国心に目覚めたエリート学生たちの一時のお祭りやファッションに終わってしまわないかなあ、とか、こういう留学組の若者たちって結局バングラデシュを離れて海外に移住してしまうんじゃないのかなあ、などとちょっと意地悪く考えたりもしますが、新しい動きとして注目したいと思います。

シャプラニールがストリートチルドレンのための青空教室ドロップ・イン・センターを一緒に運営している現地NGOのオポロジェヨ・バングラデシュと、最近こんな話をしています。私たちのプロジェクトのための費用の10%でも5%でもいい、バングラデシュの人たちから寄付を募れないだろうか。バングラデシュのストリートチルドレンの問題は本来バングラデシュの人たちがもっと考えるべき問題じゃないか、と。このことはプロジェクト開始当初から私たちの念頭にありましたが、当時のオポロジェヨは現段階ではとても無理、と否定的でした。今でも実現は簡単ではないでしょうが、少しずつ時代が変わってきたことを感じます。オポロジェヨとプロジェクトを始めて6年。今こそバングラデシュ国内でのファンド・レイジングを現実的に考え始める時でしょう。若者たちのアイディアも参考にしながら、方法を探っていきたいと思います。

 

(2005年11月30日追加)


 バッグナンバー

第一回:急速に変貌するダッカ(2005/6/14)
第二回:そぞろ歩きはダッカ市民の楽しみ(2005/06/25)
第三回:ベンガル語と格闘しつつ仕事開始!(2005/08/07)
第四回:土曜の午後はプロボルトナで(2005/08/07)
第五回:ジュート収穫の季節(2005/09/08)
第六回:ラマダン(断食月)が始まった(2005/10/27)
第七回:パキスタン大地震、バングラデシュでの反応は?(2005/11/01)
第八回:若者が始めた「我らバングラデシュ」バンド(2005/11/30)

 

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