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バングラデシュサイクロン「シドル」復興支援活動
サイクロン被災者復興支援活動中間報告
【2009年5月1日更新】
概要
2007年11月15日、バングラデシュ南西部を巨大サイクロン「シドル(SIDR)」が襲い、死者・行方不明者約4,000人、被災者総数890万人という大きな被害をもたらしました。シャプラニールではサイクロン発生直後から2008年2月頃まで緊急救援活動として、バゲルハット県、ボルグナ県、ゴパルゴンジ県の各地で食糧や衣類の配布、生活用水確保のための池の清掃や緊急用井戸の掘削など緊急救援活動を実施しました。
また2008年2月からはサイクロンにより最も被害の大きかった地域のひとつであるバゲルハット県南部のショロンコラ郡において、二段階に分けた復興支援活動を実施しています。
第一次復興支援活動(2008年2月~3月)
第一次復興支援活動は、ショロンコラ郡内で被害の大きかったラエンダ、サウスカリの両ユニオン(行政村)において、現地パートナー団体JJSと協働し、ニーズアセスメントと中等教育機関の生徒約2700人に教科書、ノートなどの配布を実施しました。
| 団体名 | JJS(Jagrata Juba Shangha) バゲルハット県で地道な活動を長年にわたって行っており、シャプラニールとも以前より交流のある団体。女性や子ども、社会的に疎外されてきた人びとなど、まずしさに立ち向かう人びとへの支援や基本的権利を守るアドボカシー活動などに取り組んでいます。 |
|---|---|
| 支援地域 | バゲルハット県ショロンコラ郡 |
| 活動内容 | ![]() 村人に被害状況を聞く フィールドスタッフ ショロンコラ郡の4つの郡のうち被害の大きかった2つのユニオン(=行政単位:Rayenda UnionとSouthkhali Union)からサンプルとする村を選び、ニーズ調査、インタビュー、ケーススタディーを実施しました。こうした調査をもとに第二次復興支援活動計画を作成しました。 ![]() 教科書配布の様子 ショロンコラ郡のRayenda、Kontakata、Danshagolの3つのユニオンに ある中等教育機関の生徒約2,700人に教科書、ノート、数学の教材のセットを配布。配布を受ける子どもたちにはサイクロンについての作文を書いてもらいました。 |
第二次復興支援活動(2008年5月~2009年10月)

追悼記念行事の様子

被災直後の状況を写した
画像を見る村人たち

設置された浄水装置を
利用する女性
第二次復興支援活動は、第一復興支援で実施したニーズアセスメントの結果をもとにJJSと活動計画を作成しました。その際、とくに以下のような点に留意しました。
【第二次復興支援活動計画における留意点】
1.住民に依存心を植え付けず、住民自身の復興への意欲を引き出す活動であること
2.地域の思春期の少年、少女たちに復興支援の様々なプログラムに参加してもらい、村の変革の担い手としての役割を担ってもらうこと
3.住民がもっとも困っている飲料水・生活用水の問題についてはしっかりした対策を行うこと
4.災害でダメージを受けた住民の精神的な回復にも配慮すること
5.女性が世帯主である家庭や、孤児を養育する家庭などとくに困窮度の高い家庭に配慮すること
6.トラウマを受けた子どもたち、とくに就学前の幼児に特別に配慮し、小学校入学につなげること
7.様々な情報への住民のアクセスを確保すること
これらの点を念頭に置きつつ検討した結果、まずは活動地域に開発センター(Development Center)を建設し、そこを拠点にして青少年育成を活動の中心に置きながら様々な手段で住民の生活回復を支援していく、という、復興支援後の活動継続も意識した内容となりました。
なお、センター建設のためにはそのための土地を探して購入し、登記するという手続きを経なければならないため、センターが完成するまでの期間は現地にJJSの仮事務所を借り、活動を開始しました。
第二次復興支援活動内容・実施状況
| 活動の分類 | 活動内容 | 実施状況 |
開発センターの設置 |
池の掘削と浄化装置の設置 |
長さ43m×幅25m×深さ4mの池が完成。現在水深約4m。浄化装置は1月設置。 |
開発センターの建設 |
2月完成。ボクルトラのサブセンターも土地購入・登録手続き済。1月末から着工。 |
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家庭菜園のデモ用スペースの開設 |
開発センター完成後、夏野菜の栽培に合わせ4月頃に設置。 |
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住民の生計回復支援 |
耕運機貸出による農業支援 |
35名の農民グループで使用。雨期アモン稲の季節に計約6.6haの農地を3回ずつ耕作。冬季のボロ稲耕作の支援も実施中。 |
果樹の苗と野菜の種子配布 |
601世帯に果物4種の苗、607世帯に野菜5種の種配布済み。 |
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ミシン縫製研修による生計向上 |
対象者5名決定。開発センター開所後2月後半研修を実施した。 |
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家畜用ワクチン接種技術研修 |
対象者5名決定。開発センター開所後2月後半研修を実施した。 |
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返済条件を緩和した小規模融資の供与 |
現場の状況の変化に伴い、計画変更を検討中。 |
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困窮家庭への少額の無償資金供与 |
対象者選定完了。家庭状況に応じ、牛または山羊を配布予定。 |
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幼児・児童への支援 |
公園、遊具の設置 |
ボクルトラ村内のサブセンター着工後、3月設置。 |
幼児教室の開設 |
08年6月から40名対象に開始。うち19名が 09年1月から小学校就学のため新規に19名参加。 |
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孤児養育家庭への 支援 |
08年9月から5世帯に食糧と教材支援中。2月から 5世帯追加。 |
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思春期の青少年への支援 |
思春期の少女たちへの衣料配布 |
08年9月、断食明け大祭(イード)前に11~17歳の少女176名に配布済み。2009年8月頃もう1回配布予定。 |
少年少女グループの結成と育成 |
少女グループ8、少年グループ2の計10グループ結成、女子87名、男子22名が参加。 |
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青少年による劇団の結成 |
11~18才22名の劇団メンバーと指導者決定。2月練習開始。 |
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外部の青少年劇団による演劇上演活動 |
08年11月15日の追悼行事で実施。今後も開発センター開所式時など数回予定。 |
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住民の精神的回復、地域づくりへの支援 |
11月15日追悼記念行事の実施 |
08年11月15日に実施済み。 |
地域社会支援グループの結成 |
1月後半の郡評議会選挙終了を待って結成した。 |
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住民の情報へのアクセスへの支援 |
情報ライブラリーの設置 |
開発センター開所後、09年2月後半より開始した。 |
緊急時の医療相談サービス |
今のところ該当例なし。 |
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保健衛生や防災等に関する情報伝達、啓発用素材の作成と配布 |
サイクロン時のシグナル(注意報、警報)についてのパンフレット作成中。 |
これまでの成果
1. 耕運機貸し出しによる農業支援
サイクロンが襲った11月はちょうど雨期の水で育つアモン稲とよばれる米の収穫を目前とした時期のため、稲はほとんどやられ、その後も塩分を含む川の水が溢れた影響で土に塩分が溜まり、次の雨期が来て塩分が押し流されるまで耕作は不可能な状態でした。その後次のアモン稲の田植えの季節が巡って来たが、農民たちの多くは田を耕す耕運機や牛を失っており、稲作を始められない状況でした。そうした状況の中35人のメンバーによる農民グループを結成し、耕運機使用ルールなどもグループ内でよく話し合い、JJS事務所を耕運機常駐場所として運用を開始しました。その結果、耕作の順番をめぐるトラブルなどもなく、アモン稲の季節には合計6ヘクタール以上の田を耕して米を作り、十分な収穫を得ることができました。耕運機貸し出しは引き続き実施されています。
2. 少年少女グループの結成
当初、ボクルトラ村の住民はかなり保守的なため、とくに少女たちの親が抵抗を示すのではないかという懸念がありましたが、JJSのスタッフが根気よく親たちに働きかけた結果、既に少女グループ8つ、少年グループ2つが結成され、思春期の女子87名、男子22名、計109名が参加しています。彼らは2008年11月15日のシドル1周年追悼記念行事の準備にも積極的にボランティアとして参加しました。特にこれまで活動が難しいとされてきた少年グループについて、2つのグループのメンバーが被災した自分たちの村の状況をなんとかしたいという強い意識を持っており、今後の活動が期待されます。
3. 幼児教室
就学前の幼い子どもたちはサイクロン時には非常に怖い思いをし、その後も生活手段の確保に必死な親たちに十分に面倒を見てもらいにくい状況で、就学の機会を逃すリスクも高い状況にあります。こうした状況の子どもたち40名を対象に開始した幼児教室では、子どもたちが絵を描いたり歌を歌ったりして毎日楽しみながら小学校入学に備えています。この幼児教室では栄養補給のための軽食も出しています。子どもたちの成長は目覚しく、親たちの子どもの教育にかける意識も変わってきました。11月15日のシドル1周年追悼記念行事では、この教室に通う子どもたちのお絵描きコンテストも実施し、たくさんの親たちが子どもの様子を見に来て大変盛況でした。40名のうち19名は就学年齢に達し、この1月から村内や隣村の小学校に入学したため、あらたに19名が加わりました。
第二次復興支援活動での課題と今後の取組み
これまでの復興支援活動において特に難航したのが開発センターの土地の確保でした。ボクルトラ村は雨期には村内の道を歩くことさえ困難な泥のため、村内にセンターを建設しようとしても工事のためのトラックも入れません。かといって村からセンターが離れてしまうと住民が利用できません。思案の末、メインのセンターは隣のラエンダ村内トファルバリ地区のボクルトラ村との境に当初予定していた面積の6割程度の規模で設置し、ボクルトラ村内に小規模なサブセンターを設置するという分割策をとりました。そのため、活動の主対象はボクルトラ村住民ですが、メインセンター周辺のラエンダ村トファルバリ地区住民116世帯も対象に含めることになりました。
こうした状況も含め復興支援活動の過程で、土地購入の交渉や登録手続きにも当初の予定よりも時間がかかってしまいました。さらに、バングラデシュ政府のNGO局の承認取得に時間がかかってしまい、実際の活動開始が6月となってしまったため、すぐに雨期に入ってしまい開発センター建設がなかなか進まず、当初の完成時期から大幅に遅れ、2009年2月にようやく完成しました。ボクルトラ村内のサブセンターについては、2009年1月にようやく土地購入・登録手続きが終わり、現在建設工事を進めています。
またボクルトラ村には当初わたしたちが想定した以上にモノによる支援が集まっています。今後、低利でマイクロクレジットを実施する団体も活動を開始する可能性も高いでしょう。そこで、わたしたちシャプラニールの復興支援活動では、物資配布や融資による生活向上支援は最低限に留め、少年少女グループメンバーのリーダーシップ研修、村人の農業技術研修など広い意味での人材育成的な活動を主軸に村が元気になるような活動を実施していきたいと考えています。
復興支援活動の写真

キャッシュフォーワークにより採掘されたデベロップメントセンターの池。(11月)

ボクルトラ村での追悼式典の様子(11月)

ボクルトラ村にて子どもたちにのお絵かき大会を実施しました。(11月)

ボクルトラ村の孤児のいる家庭に対して食料の配布を行いました。(9月27日)

ボクルトラ村の少女たちにサルワール・カミーズの配布を行いました。(9月27日)

ボクルトラ村住民に対して果樹の苗木を配布しました。(9月24日~25日)

幼児トラウマケアの活動として23人の子どもを選び、ボクルトラ村内の小屋で8月1日から幼児教室を開始しました。

農業支援活動としてボクルトラ村の住民に対して耕運機1台を購入しました。(8月)

デベロップメントセンター用の土地を購入しました。(7月)
緊急救援活動原則






















