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ネパールの治安状況

2003年8月27日、マオイスト側が「妥当性が失われた」として一方的に停戦合意および次回以降の和平交渉を"当面"破棄し、これに対してスリヤ・バハドゥル・タパ首相は緊急閣議を招集、政府側防衛組織に対して高度警戒態勢をとるよう指示しました。

8月17日に3度目の和平交渉がネパールガンジで開催され、憲法制定議会の開催の可否を巡って交渉は不調に終わったものの、その後政府側が憲法制定会議の開催を議題に乗せる事を検討しているとの報道がなされ、双方の対応が注目されていた矢先の出来事でした。マオイスト側は声明文の中で、旧体制が停戦および和平交渉の有用性を失わせたのであり、それを明らかにするために停戦合意の破棄に至ったとの見解を示しています。

以下にそれ以降の関連する出来事をまとめてお伝えします。

■8月28日
・7時39分、カトマンズ市内で軍の大佐が覆面のマオイストに銃撃され約2時間後に収容先の病院で死亡。銃撃の約1時間後、別の大佐が正体不明の一団に銃撃され重傷を負ったが一命を取り留めた。これまで7年間の武力闘争の中でも最も高位の軍人が殺されたことになる。
・ダン郡のトゥルシプルで武装したマオイストがラストリヤ・バニジャ銀行から720万ルピーを強奪、逃走した。
・ウダイプール郡でネパリ・コングレス党のサポーターの退役英軍兵(74歳)を射殺。
・政府が「マオイストはテロリスト集団である」と宣言した。
・アメリカ、EU、日本、中国など国際コミュニティはそれぞれ遺憾の意を表明し、和平プロセスの再開を強く求めた。

■8月29日
・AIN、NGO Federationも主要紙に和平交渉の再開を強く求めるアピールを掲載。
・カイラリ郡で地雷が爆発、兵士が負傷。
・シンドゥパルチョウク郡でディペンドラ・ラージ・カンデル内務省副大臣が銃撃され負傷。
・ロハニ郡でプラカーシュ・チャンドラ水資源省大臣の自宅で爆弾が爆発。
・UMLの活動家がマクワンプール郡で4名、ロルパ郡で12名が誘拐された。
・カトマンズ市内で私立学校連盟主催で大規模な平和行進が行われ、商工会議所やホテル協会など大小様々な団体のメンバーが学校の生徒や先生、両親らと共に行進に参加した。

■8月30日
・カイラリ郡ダンガディで警官1名が正体不明の一団に襲撃され死亡。

それ以降も各地での軍とマオイストとの衝突や誘拐事件などが連日報道されています。私が出張中特に危険には遭遇しませんでしたが、幹線道路の検問は厳しく、各チェックポイントでバスおよび車の乗客を全員降ろし一人ずつ荷物をチェックしていました。また、今回の出張目的であるカマイヤ・キャンプの状況を知るためいくつかのキャンプを訪問する際にも軍の許可を取らなければならいなど、厳戒態勢下での移動となりました。

次に現在の状況と今後の見通しについてまとめます。

1) 特定地域の夜間外出禁止令
カトマンズ盆地内のキルティプル、またウダイプル、ラメチャップ、バグルン、シンドゥリ等の各郡に夜間外出禁止令が出されています。

2)バンダ
9月9日にカブレ、シンドゥパルチョウク、ダディング、ラスワ、マクワンプール、ラメチャップ、ヌワコットの7郡においてNational Tamang Freedom Forum(マオイストの姉妹団体)がバンダを行う計画があります。

3)集会禁止令発令
カトマンズ盆地内3郡のうち自治市を中心とした一部地域において集会やデモなどに対する禁止令が出されました(宗教的。伝統的行事を除く)。また公共の場で5人以上が集まることも禁止されました。9月23日までの期限付きです。

4)ネパールバンダ
9月18〜20日の3日間、マオイストが全国バンダを予定しており、11〜17までは準備期間として大規模なキャンペーン活動を行うとしています。

また、マオイストの活動とは別に、9月4日に5大主要政党が全国から党員を動員し、数万人規模の抗議デモを計画していましたが、これを中止し別な手段による抗議行動を実施するとしています。これはアメリカ、イギリス、インドの大使から「これ以上政府との亀裂を深めれば得をするのはマオイストだけだ」と言って各政党のリーダーへプレッシャーをかけた結果と言われています。

今回はカトマンズ市内および盆地内での活動が特に活発なこともあって市内中心部に戦車が駐留し、また道路上での検問も厳しく行われています。カトマンズ市内に今のところ外出禁止令は出されていませんが、実際7〜8時には多くの店も閉まり車の台数も目に見えて減ります。私も帰宅が遅くならないよう気をつけるようにしています。

2003年9月4日
カトマンズ事務所長 小松豊明

 

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