バングラデシュの新たな課題
シャプラニールは3年ごとに組織としての「中期ビジョン」をつくり、それに基づいていろいろな計画を立て、活動しています。現行の中期ビジョンは今年度で終わるので、その評価と、来年度からの3年間の新たな中期ビジョンづくりのための話し合いが今進んでいる最中。ダッカ事務所でもその一環として現地スタッフの意見を聞くべく、模造紙とカード、マジックなどを用意して、簡単なワークショップを行いました。
これまで実施してきた農村での活動、都市での子ども支援の活動などのほかに、今バングラデシュで取り組むべき課題にどんなことがある?ということを自由に出してもらいました。
複数のスタッフがあげたのは、「高齢者問題」。この課題をあげたスタッフのひとり、プログラム・オフィサーのサイフルが言うには、「バングラデシュもだんだん大家族制が崩れて、核家族化してきた。これは都市に限らず、農村もその傾向がある。この国は健康保険もないし、高齢者のための社会的なセキュリティ・ネットもないし、お年寄りを大事にしようという意識自体が薄れてきているから、これからこの問題はどんどん深刻になると思う」とのこと。
このテーマは実は現行の中期ビジョンにも注目するテーマとしてあがっていたけれど、あまり活動の中で触れることができなかった部分です。
「環境問題」をあげたのはプログラム・オフィサーのバリ。彼はもともと環境を壊さない持続的な農業のことがやりたくてNGOスタッフになったという人。環境問題といっても広いけど、とくに何に注目すべきだと思う?と聞いてみると、「水の汚染やバングラデシュで売られている食品に含まれる有害な添加物などについて、人々の意識を喚起すること」だそう。もうひとりのプログラム・オフィサー、ポリモールも口をそろえて、「アパ、数年前だったら有機農業でつくった野菜でも高かったら人は買わなかった。でもここ2~3年で、かなりダッカの人たちは健康志向が強くなっている。今なら高くても有機野菜を買う人はたくさんいると思う」とのこと。ふーむ、たくさん、てどれぐらいかなあ。そのうちダッカのスーパーにもそういう有機野菜コーナーができてくるかしら。
「若者にひろがる売買春の問題」をあげたのは今年入ったばかりの若い女性スタッフのイルシャト。「最近、いわゆるプロのセックスワーカー以外にも、普通の若者たちにも売買春に関わっている子たちがいる。大学の女子寮でも、ブローカーみたいなことをしている子がいて、学費に困った女の子などに、そういう仕事を内緒で手配している。その広がり方はかなり危険な勢い。若者たちはHIV/AIDSや性病について実際的な知識は何もないままそういうことをしている。正しい知識を伝えないと。」うーん、大学の女子寮でもそんなことが起こっているというのは認識外でびっくり。
こういった「新しい問題」としてあげられたものにシャプラニールとしてどんな風に取り組んでいけるのか、いけないのか、というのを現実問題として考えるのはこれからの話なのですが、どうもこういう「新しい問題」の形が日本の問題に似てきたなあ、ということを実感します。前からあったけれど目を向けられなかったものももちろんあるのでしょうけれど。
高齢者問題にしろ、環境問題にしろ、若者の売買春の問題にしろ、日本のNPOの経験をバングラデシュのNGOとシェアして一緒に考えていくようなことも今後できたらいいなあ、それこそ「市民による海外協力」の醍醐味なんじゃないかな、と個人的には思っています。
コメント
非常に有用な情報をありがとうございました。私は来月バングラに赴任が決まっている男性ですが、そちらの性病がどの程度広がっているのか知りたいのですが何か情報をお持ちでしたら教えて頂きたいです。宜しくお願いします。
投稿者: 笹野高史 | 2008年01月22日 12:41