読める歓び、書ける愉しさ

ショミティ・メンバーを対象とした識字教室は、シャプラニールの農村の活動の中でもかなり初期から実施してきたプログラムのひとつですが、取り組みが本格化したのは80年代後半、現在使っているオリジナル教材の初版が出たのは1994年です。農村の活動地事務所が3つの現地NGOとして独立したあとも、各団体はシャプラニール・オリジナルの識字教科書を引き継いで使っています。
写真左=熱心な若い先生が丁寧に教えています

識字教室が行われるのは、だいたい6月から10月の雨季の間。農作業が忙しい時期や出稼ぎが多い時期を避けてこの時期に定着したようです。かつては男性ショミティが多かったため、彼らが仕事を終えて参加できる夜間、ランプを灯しながら識字教室をやっていたものですが、今は女性ショミティのほうが増えたため、午後3時から5時ぐらいの時間に行うことが多くなっています。
写真右=ベンガル数字で91から100まで書けました!にっこり。

マイメンシン県イショルゴンジ郡のCOLIの活動地で、今ちょうど実施中の識字教室を覗いてきました。このクラスは6月から始まり、来月の最終試験で終わります。今日習っているのは、「オーラル・セライン(経口補水液)の作り方」の課。「半セール(セールは重さの単位)の水にひとつかみの砂糖とひとつまみの塩を入れるとオーラル・セラインができます」という文章を、参加者が順番に黒板に書いていました。教科書の本文には、「下痢をしたときはオーラル・セラインを飲みましょう。セラインはバザールでも買えますが、自分でつくることもできます。」という文章に続き、オーラル・セラインの作り方が書いてあります。
写真左=「オーラルセラインの作り方」を書いています

識字教室に使う教科書は、学ぶショミティ・メンバーが関心を持ちやすく、また文字を学ぶだけでなく意識啓発にも役立つように、ということで、「木を植えましょう」とか、「結婚持参金は家庭に悲しみをもたらす」など、ショミティでの話し合いのトピックを意識した内容になっています。文字と同時に数字も習い、簡単な計算も学びます。
写真右=お母さんの教科書とペンを手に「その気」の女の子
今期COLIが開講している識字教室は女性の基礎クラスばかり29クラス。この日覗いた教室で学んでいた女性たちは、ほぼ全員が子ども時代にまったく学校で学んだことがない人たちでした。ペンやチョークを握り締め、ひとつひとつ文字を書く彼女たちは楽しそうで、毎日教室に通い、読み書きができるようになってきたことの歓びと自信が溢れていました。

おとなの識字教室を見ても、働く子どもたちの教室を見ても思うことですが、学ぶ機会がこれまでなく困難な状況にあった人ほど、機会を得たときの学ぶ姿勢は真摯で、勉強することを本当に楽しんでいるようです。
COLIが夜間実施している働く子どものための教室も時々見にいきますが、子どもたちは元気いっぱいで圧倒されるほど。家具屋や茶店などで朝から晩まで、1日数十円の給料で働いている子どもたちですが、仕事の合間に2時間ほどの休みをもらってこの教室に来ている間、眠くなることなどまったくない、と言います。先生が計算問題を黒板に書き「誰か解ける人」と聞くと「ぼくが、ぼくが」と必死に手をあげ、我先に黒板の前に出ようとする姿は微笑ましく、同時に切ない気持ちにさせられます。
写真左=働く子どもの夜間教室の様子。このクラスは小学校の校舎を夜間使わせてもらっています。停電のためランプの灯りで授業中。

本当ならまだまだ親に甘え、昼間近所の子たちと学校に行き、学校から帰れば思い切り走り回って遊びたい年頃なのに。好きな教科として子どもたちの多くがあげたのはベンガル語。詩や物語があるのが楽しいから、だそうです。
勉強は楽しい。心からそう言う子どもたち。夜9時に授業が終わると、何人かの子どもたちは店じまいを手伝うために、仕事場に戻っていきました。
写真右=元気いっぱいの子どもたち。また会おうね!