カラ・モンスーン
温暖化はじめ世界中に広がる異常気象。ここバングラデシュも例外ではなく、「最近季節がおかしい」という声はいろいろなところで耳にします。2年前の洪水が大きかっただけに、こちらに来てから今年は来るか来ないかと洪水の心配ばかりしていたのですが、今年は逆に雨季にもかかわらずほとんどまとまった雨が降らず、しかも大河の上流でも雨が少ないため、旱魃が心配される事態となっています。「カラ梅雨」ならぬ「カラ・モンスーン」です。いつもなら野に水が満ち溢れ、草原が沼となり、川幅は広がり、低い中洲は水に沈み、人々がノウカと呼ばれる小舟であちこち行き来できる季節なのに、今年はさっぱり、なのです。
ポッダ、ジョムナ、ブラフマプトラといった主だった大河の水位は、観測史最低まで下がっているとのこと。具体的に言うとここ25年、こんなに水位が下がったことはなかったそうです。先日ダッカから車で1時間半ほどでいけるマワ・ガートへ行って来ましたが、川岸の茶店の兄さんにお茶を飲みながら聞いてみたら、ここでも平均的な年より4メートルも水面が下がっているとのこと。写真を撮ってくればよかったのですが、確かに水が少ないといわれた去年よりさらに水面が下のほうにあり、海のように見えるはずの雨季のポッダ川が、なんだか小さく見えました。

写真は去年の今頃、マワ・ガートのポッダ河畔で撮ったもの。向こうが全然見えず海みたいですよね。かすかに向こう岸のように見えるのは広大な中洲です。今年は同じアングルで見ると、向こう側に黒々、はっきりと中州が見え、道路とあまり変わらない高さにあった水面がずっと下にあるのです。(あー、ほんとに今年こそ写真を撮っておくべきだったなあ。)
月曜日の新聞の一面に出ていた写真は広大な草原でゆったりと牛たちが草を食んでいるというもの。何も知らずに見ればなんでもない写真なのですが、これは北部バングラデシュでもっとも大きな湿地帯、チャラン・ビールを写したもので、ここで雨季の間に地面が出ているというのは異常な光景なのです。日本で言えば、ダムの底に沈んだ村が出現してしまったようなもの。住民たちはここが以前雨季に干上がったのはいつだったか、思い出すこともできないというのです。
この異常気象のため、雨季の後期に行われるアモン米の栽培に既に影響が出ています。水がなくて栽培できない田が出ているためです。このままだと乾期の地下水位も下がり、乾期に灌漑稲作として栽培されるボロ米の収穫にも大きな影響が出てしまいそうです。シャプラニールの活動地の中でもとくに地下水位が低いイショルゴンジあたりでは、この冬は水が出ない井戸が増えてしまうでしょう。
大洪水は困るけれど、水があるべきときにないのも大問題。モンスーンらしいまとまった雨が降ってくれることを祈るばかりです。