子どもとおとな、初めての共同マネジメント委員会

今はダッカ事務所の昼休み。先ほど、現地NGOのオポロジェヨ・バングラデシュとシャプラニールが協力して運営しているストリート・チルドレンのためのドロップ・イン・センターから帰ってきました。今日の午前中何があったかというと、子どもたちとスタッフでつくる共同マネジメント委員会(ジョイント・マネジメント・コミッティー)の第1回のミーティング。ストリート・スクール(青空学校)でひとつ、ドロップ・イン・センターでひとつ、委員会を組織して、みんなの共通の問題について話し合います。それぞれの委員会のメンバーは5~7人の子どもと2人のオポロジェヨのスタッフからなり、子どもたちの代表は選挙で選びます。
(写真=ドロップ・イン・センターの共同マネジメント委員会。おとなの男性はオブザーバーとして参加したシャプラニールダッカ事務所スタッフ)
今までもこういう試みがなかったわけではありません。子ども会議や子どもとスタッフの共同会議はこれまでもやっていましたし、子どもたちが自分たちのルールを決めたりもしていました。でも、少し話が大きなことになると、子どもたちが出し合った意見をおとなが聞いて、おとなが決定するときの参考にするに留まっていました。また、下手をすると子どもたちがスタッフにいろいろな「要求」(部屋が暑いから扇風機をつけてほしい、など)を出す場になってしまうこともありました。

でも今年から始まったこの共同マネジメント委員会では、子どもたちにも委員としての権限があり、責任をもって意思決定に携わることになります。委員の子どもたちは皆、この委員会の目的や委員の役割を書いた紙をしっかり読み、理解して同意したらサインをします。議長や書記も子どもたち。おとなメンバーは必要なコメントはしますが、会議を仕切ってしまったり自分の意見を子どもたちに押し付けたりすることのないよう、注意深く参加しなければなりません。ただし、会議運営の経験が少ない子どもには、技術的なサポートも必要。議論が沸騰したあと、結論をどうまとめたらいいか迷っている議長の子どもに、時には助け舟を出す必要もあります。これにはかなりスキルが必要です。
(写真=ストリート・スクールの共同マネジメント委員会の議長と書記)
今日のドロップ・イン・センターの共同マネジメント委員会の議題は、6つありました。1.食べ物について、2.服の盗難について、3.勉強について、4.新しい仕事について、5.子ども銀行について、6.その他、です。どれも子どもたちにとって切実な問題ばかりでしたが、そのうちのひとつ、「2.服の盗難について」の議論の一部を再現してみましょう。
カハル(議長)「じゃあ、次の議題は服の盗難について。この議題について提案者のカジョリから説明してください。」
カジョリ「私たちはすごく苦労してお金をためて自分たちの服を買ってるけど、それを洗って屋上に干しておくと外から来て盗っていっちゃう子がいる。服を盗られたら学校に行くときも困っちゃう。だから私たち子どもたち何人かで服の見張り担当を決めて、順番に見張りをしたらどうかと思います。」
ラナ「そうだよね。僕たちは紙袋作りの仕事とかをしながらちょっとずつお金を貯めて服を買ってるけど、それを盗られたら困っちゃう」
モミヌル「見張りはナニ(掃除や子どもたちの世話をするスタッフ)にやってもらったら?」
ハシナ「それはダメだよ。ナニはもういっぱい仕事があるんだから、これ以上仕事を増やしたらパンクしちゃうよ。私たちの服なんだから見張りも私たちでやらなきゃ。」
スタッフ「外から来て服を盗っていっちゃう子はどんな子なのかな。その子たちはドロップ・イン・センターに来てない子なの?」
カジョリ「来てない子。でもその子たちも服がないんだと思う。親が買ってくれないとか。そうじゃなければ盗っていったりしないと思う。」
スタッフ「じゃあその子たちにも教えてあげないといけないよね。人の服を盗っちゃいけない、ってこととか」
結局、洗濯物を干しているときの見張り番を子どもたちの中から選ぶ方向で、ほかの子どもたちにも委員会から話をしよう、ということになりました。ドロップ・イン・センターの「子ども代表」は、10代半ばぐらいで学校に通っている子が多く、皆とてもしっかりしています。スタッフが口を出すのはほんのわずかでも、話し合いはとても活発に進んでいました。

隣の部屋で行われていたストリート・スクールの委員会のほうは、もう少し小さい子が多く、議長の少年はなかなか苦戦している様子。年下の子どもたちがなかなか発言しないのです。のぞいてみると、こちらはちょっとスタッフも口を出しすぎ、仕切りすぎ。こちらは議長役の子も、スタッフも「みんなが参加できる会議運営」のスキルをもっと身につける必要がありそうです。
(写真=ストリート・スクールの共同マネジメント委員会)
この子どもたちとスタッフの共同マネジメント委員会は、これから毎月実施されます。議題はほかの子どもたちとも話し合って決められ、決まったことはまたみんなにシェアします。
子どもの参加をより本当のものにし、子どもたちのマネジメント能力を高めていく試み、これからどんな風に進んでいくか、楽しみです。
コメント
すばらしいですね!自分たちの責任で自分たちのことを決めていく。。。
これができる子どもたちが増えていったら、バングラデシュの未来も…
(^^)
自分の子どもも、そういった場に加わらせてあげられないかと、思いました。
投稿者: はるか | 2006年08月18日 23:42
はるかさん、コメントありがとうございました。
そう、この委員の子どもたち、なかなか真剣で凛々しくやっていました。
でも、この子たちがほかの子どもたちの中から浮き上がった「特権階級」
にならないように、それも気をつけなければいけないな、と思いました。
例えばこの子たちだけが会議中にいいおやつを食べる、ということに
なったりするとまずいですよね。
投稿者: ふじおか | 2006年08月19日 18:39