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インドの空をめぐる熾烈な競争

「最近、安い飛行機のチケットが手に入るようになったから国内移動が便利になったわ~」というのは、インド人の友人から聞いていたのですが、こんなすごいことになっているとは今回あらためて調べるまで知りませんでした。いやー、インドの格安エアラインというのは参入に次ぐ参入でもうすごい激戦状態になってるんですね。

かつてはインドの国内線といえば、インド国営のインディアン・エアラインの寡占状態だったのですが、1991年のラオ首相による大胆な産業開放政策に伴って航空産業も民間に開放され、92~93年にはエア・サハラジェット・エアウェイズといった民間航空会社が参入。とくにジェット・エアウェイズは行き届いたサービスとリーズナブルな価格でぐんぐん伸び、今はインド国内線ではシェア40%で堂々第一位。ムンバイからシンガポールへの国際便も毎日飛ばしています。

90年代の半ばから後半は2、3の貨物専用航空などを除いてあまり新しい航空会社の参入はなかったようですが、2003年設立のバンガロール拠点のエア・デカンの成功が引き金になり、ここ数年、格安民間航空市場は新規参入が相次いでいます。広いインド、しかも購買力のある中間層が増大し、飛行機で旅する人も増えたため、それでも各社かなり儲かっているようです。

以下、インドの主な民間航空会社を設立年で並べてみましょう。
1991年 Air Sahara (操業開始は1993) 
1992年 East West Airline
1993年 Jet Airways
2003年 Air Deccan
2004年 Go Air
2005年 Kingfisher Airline / Spice Jet / Paramout Airways/ Indus Airways
2006年 IndiGo Airlines /Jagson Airlines

去年から今年にかけてがとくにすごいですね。Kingfisher Arilineはインドの代表的なビール、キング・フィッシャーを製造販売しているUnited Beverage Groupがオーナーだし、Paramount Airはマドゥライのテキスタイル企業がオーナーであるなど、異なる業種からの参入も目立ちます。価格競争も熾烈になっていて、Spice Jetなどはなんと、操業開始から99日間は9000席まで99ルピーというキャンペーンをやり、今も国内の主な線で往復999ルピーという超格安チケットを売っています。

これら新しく参入した会社がガンガンと海外に新しい飛行機の注文を出しており、これからパイロットや客室乗務員もどんどん採用が見込まれます。というか、パイロットはかなり不足しそうな事態らしいのです。

スチュワーデス養成学校の看板.jpg
そういう状況を反映する光景をコルカタで発見しました。これはスチュワーデス養成学校の看板。飛行機の前でにっこり微笑むスチュワーデス。航空会社間の競争を受けて、パイロットや客室業務員の給料も上がっているようで、スチュワーデスはいまや若いインド女性の憧れの職業です。

泊まったホテルの近所から行きつけのレストランへの道を歩いていたら、ありました、この学校。普通の住宅街の中のマンションのようなビルに看板がかかっています。残念ながらこの学校に出入りする人の姿を捉えることはできなかったのですが...
スチュワーデス養成学校.jpg

ちょうど私たちがコルカタに着いた翌日の29日、インドの英字紙Telegraphの1面に載っていた記事は、ハメを外して首相官邸に車で乗り込んだ若者3人が逮捕されたというニュースでした。3人のうち2人はエア・サハラのスチュワーデス。泣きそうな顔で「私たち、牢屋に入れられるんじゃないよね?ね?」と言ったという彼女たちは20代前半。彼女たちが乗っていた黒いかっこいい車は2人のうちの1人の持ち物でした。エア・サハラはすぐさま2人を解雇。うーん、アホな子たちやなあ。でも20代前半で車を乗り回せるような給料をもらっていたわけね。

豊かな人はどんどん豊かになる一方で、取り残された人との格差は開くばかり。一方では牛糞をこねて燃料をつくり、食べるものが無くてネズミを食べている人もいる国で、航空産業は熾烈な競争。

バングラデシュもそうだけど、インドも「国内の南北問題」が深刻ですね...。南北問題ってもはや国と国の間のものだけじゃないですよね。インドみたいな国では、都市で育った豊かな若者たちを対象にした「国内の開発教育」が必要なんじゃないでしょうか。そういうところで日本のNGOの国内での活動の経験が生かせるかもしれません。



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