ごみ収集者の情報ネットワーク
ダッカ事務所にいる若い方の犬、タイガーがおとといの朝からいなくなってしまいました。車が出入りするちょっとの隙に門の外に出て行ってしまったらしいのですが、しばらくたっても帰って来ず、そこら中探してもみつからないので、「誰かが自分の飼い犬として連れていってしまったのではないか」とスタッフたちは言うのです。
タイガーは清潔で毛並みもきれいだし、仔犬のときから可愛がって育ててきたから顔も穏やか。私はまだ数日たてば帰ってくるような気がして待っているのだけど、もしかしたら本当に誰かが連れていってしまったのかも...。毎朝私の顔をみると無条件に喜んで飛んできたタイガー。交通事故に遭ったりしていないことを祈るばかり。
顔を曇らせて心配しているのは雑用係のトゥトゥール。「アパ、探してもみつからないから、近所のいろんな人に、もしみつけたら知らせてくれるように頼んできたよ。タイガーは誰かの家の門の中にいて出られないんじゃないかと思う。僕は人の家に入って調べるわけにはいかないから、事務所にゴミ集めに来てくれてる人に、よその家にいるのを見たら教えてくれるように頼んでおいたから。」
なるほど。ゴミ集めの人ならいろんな家に入ってタイガーがいるかどうか見られるもんね。「家政婦は見た」ってTV番組があったけど、ここだと「ゴミ収集者は見た」って番組もできるかも。
ゴミ収集といえば、シャプラニールと現地NGOのオポロジェヨ・バングラデシュが運営しているストリート・チルドレンのための青空学校やドロップ・イン・センターにも、ゴミ集めをしている子、以前していた子がたくさんいます。彼らの場合、住宅地の家々を回ってごみ収集をするのではなくて、大きな袋を持ってあちこち路上を歩き回りながら紙やプラスチック、金属など、リサイクルできそうなものを拾ってお金に換えるわけなのですが、彼ら子どもたちもびっくりするほどいろいろな情報を持っています。
麻薬を売っているのはどこか。買春宿はどのあたりにあってどんな人が出入りしているか。盗品はどんな風に流れてどこで売っているか...などなど、およそ子どもらしくないこともよく知っています。子どもたちは歩き回りながらいろいろなものを見ているし、仲間とも情報交換しているのです。
そういえば先日の夕方、ドロップイン・センターのすぐ近くの交差点で、わずかな隙に事務所の車の左のミラーを盗まれる、という事件がありました。若者がひとり助手席の窓のあたりに近づいてきたので物乞いかと思ったら、あっという間にミラーに飛びついてはがして逃げ去りました。その間わずか数秒。
その時はお客さんも乗せていたので、そのまま行くしかなかったのですが、もしあの時ドロップ・イン・センターに引き返して子どもたちに話したら、教えてくれたかもしれません。「そのミラーはきっと今頃あのへんで売ってるよ」と。
車はトヨタのバン。これ専用のミラーなんてバングラデシュで入手できるのかしら、と思いましたが、その日のうちに部品屋街でぴったりなものがみつかりました。日本で新品を買えば2万円ぐらいするらしいのですが、部品屋で買ったのは2500タカ(約4500円)。うーん、これも盗品じゃないでしょうね?
モノの流れや情報の流れ、私たち外国人がキャッチできる「流れ」なんてごくわずかな限られたものです。自分の属していない「流れ」のことはよくわからないもの。その中にいる人によく聞いてみるしかありません。