土地は誰のもの?
「土地なし人口、50年で3倍に」 ― 今日の新聞(Daily Star)の1面に出ていた記事を見て、うーんと唸ってしまいました。記事によれば、独立前の1960年には、土地を持たない世帯は全世帯の19%だったのが、現在は約58%になってしまったというのです。10年前と比べても、2%ほど増えているとのこと。
記事はまた、この国の土地所有の不公平さも問題にしています。それによると、
●バングラデシュの全世帯数の半数が持つ土地を合わせても、全国の土地の4.2%にしかならない。
●バングラデシュの6.2%の世帯が、全国の土地の40%を所有している。

「土地なし」の人が増えている理由としては、川の浸食、地価の値上がり、失業者の増加などがあげられていますが、同時に土地の分配について、あまりに政府が無策であることも指摘されています。
政府の発表によれば、現在バングラデシュには500万エーカーの、所有者が決まっておらず政府所有になっている土地があるとのこと。専門家によれば、これらのうち耕作可能な土地を土地なしの人々に分配すれば、相当な貧困削減になるということです。
しかし、政府がこうした土地の分配を過去に行ったのは、ほとんどが1981年から96年までの間で、ここ10年ほどはほとんど行われていないとのこと。また、政府の統計によれば、独立から現在までの間に、耕作可能な120万エーカーの土地の44%がすでに分配されたというのですが、前出の専門家の調査では、その88%は既に豊かな有力者の手に渡っており、土地なしだった人が今でも手にしている土地はわずか12%、土地を得て経済状態を向上させることができたのは、そのまた46%に過ぎないというのです。
ダッカのスラムで住民に話を聞いてみると、川の浸食で家や土地を失い、食べていけなくなってダッカに出てきた、という家族が少なからずいます。一方で、川には新しい中洲(それもかなり広大な)ができることもよくあり、数年前ぐらいから人が住み始めたような中洲もあります。
今朝の記事によれば、こういう中洲の土地も、政府がきちんと管理していないうちに、有力者が偽の土地の権利書などを作り、自分のものにしてしまうケースが多いというのです。
所有者が決まっている土地ですら、その争奪は深刻な問題です。わがダッカ事務所のスタッフの中にも、実家の土地が不法占拠され、慌てて休みをとって飛んで行った人もいます。問題はまだ決着していないとのこと。
シャプラニールのショミティ・メンバーになるには土地を持たない人、持っていてもわずかの人が対象ですが、こういう人は減るどころか増え続けているわけです。その背後には、有力者による土地の不法占拠や政府の無策があり、持てる人と持たざる人の格差はどんどん開いています。
貧困削減のためNGOの果たす役割は決して少なくないけれど、貧困の根本原因に政治がメスを入れなければ、この状況は決してよくならないでしょう。この現状に対して、私たちに何ができるんだろうか。
朝から重いタメ息が出てしまった土曜日でした。