英連邦兵士墓地に眠る日本人
チッタゴンで見聞きしてきたものシリーズ第3回。

チッタゴンの町には第二次世界大戦中に亡くなった英連邦兵士の墓地があります。よく手入れされたなだらかな芝生の斜面が墓地になっていて、そこにビルマ戦線で亡くなった兵士たちが埋葬されています。
「英連邦兵士」なので、イギリス人やインド人のお墓が多いのですが、ここには日本人のお墓もあると聞き、探してみました。ひとつひとつ墓石を見ていたのですが、なかなかみつからないので墓地の掃除をしている人に聞いてみると、「あそこだよ」と斜面のずっと上の右端のほうを指差しました。

(左の写真の右上を目をこらしてみてみてください。ひとつぽつんと墓石が見えますよね)
そちらのほうへ行ってみると、ありました。1つだけの墓碑に、ここに眠る18人の日本人兵士の名前と亡くなった日が書いてありました。名前がわからない1人を合わせて19人が一緒に眠るお墓です。
墓地の掃除係のバングラデシュ人のお兄さんは申し訳なさそうに言いました。
「ここに埋葬されているのはチッタゴンの病院で亡くなった人たちなんです。もうひとつクミッラにある英連邦兵士墓地のほうは、日本人のお墓も一人一人ちゃんと墓石があるんですが...。」
ビルマ戦線で負傷し、チッタゴンの病院に送られ、そこで亡くなった人たち。この人たちの家族や親戚はこのことを知っているのだろうか?お兄さんに聞いてみると、
「ええ、今まで何人か家族の方がお墓参りにみえたことがありますよ。」
とのこと。もちろん、この中には名前のわからない一人を含め、家族にも知られないまま眠っている人もいるのでしょう。

「それにしてもなんでこんなに離れたところに埋めたのかね。死んでからも土の中で戦争するとでも思ったのかねえ。」と同行したダッカ事務所のスタッフ。
実はここにはほかにも「離されて埋葬された人たち」がいました。
それはアフリカのナイジェリアの兵士たち。斜面の一番下のほうに少し離れて二列、彼らのお墓があります。1人1人の墓石はきちんとありますが、他のお墓からなんだか不自然に離れています。
暑く照りつける日の光。青々と映える芝生。墓石の間で風に揺れる可憐な花々。そしてここがバングラデシュとは思えない静寂。
約60年前にここに葬られた、出身国の違う様々な人たちの人生に思いを馳せたひとときでした。