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タイガー、受難

以前写真入りでご紹介した子犬のタイガー。
よくご飯も食べてすくすくと大きくなっていたのですが、おととい大変なことが...。

私は残業して遅くなったときだけ事務所の車で家まで送ってもらっています。オポロジェヨの子どもたちとピクニックにいった日。事務所に戻って仕事をし、夜、さて帰ろうかと思ったらいつもの場所にタイガーが見当たりません。

トゥトゥールがどこかに連れていったのかな、などと思いつつ車庫をバックしてきた車に乗り込もうとしたら、前方からただならぬ悲鳴が!運転手のミロンがタイガーが車の下に入っていたのを気づかず、轢いてしまったのです。

のた打ち回るタイガー。後ろ足が変な風に曲がってしまっています。車から降りて「オーマイゴッド!ソーリー、アパ」と立ちつくすクリスチャンのミロン。私はムンクの叫びのポーズのまま「ああ、タイガー、どうしよう」と数秒固まってしまいましたが、そばに行ってみると、轢かれたのは片足だけ、それもすぐ手当てすればなんとなる可能性があるような気がしました。最近また戻ってきているジェリーも心配そうにクーンと鳴いています。

自分や家族の医療費にも苦労しているスタッフの前で、犬の治療にお金(もちろん私のお金ですが)を使うのはまずいだろうか、という考えが一瞬頭をよぎります。でも轢いてしまったミロンもこのまま「アパがかわいがっているタイガー」が歩けなくなったり死んだりしたら、落ち込んでしまうでしょう。

実はこの日、ミロンは朝からちょっと様子がへんだったのです。ピクニックに出かけてからわかったことですが、前々日に彼の親しい従兄弟が交通事故で亡くなっていたのでした。「仕事がなければお葬式に行くつもりだったんです」とミロン。前もって言ってくれれば、なんとか休めるようにしたのに...
そんな日に1日の仕事をやっと終えられると思ったら子犬を轢いてしまったわけです。

友達に電話して獣医さんの連絡先を調べてもらい、トゥトゥールに手伝ってもらって車に苦しむタイガーを乗せ、ダッカ北部のウットラへ。
迎えてくれたのはイラン人の獣医さんでした。

「かわいそうに事故にあっちゃったんだね」と話しかけながら、獣医さんはタイガーのねじれて曲がった後ろ足をぐーっとひっぱり骨を正しい位置に戻してくれ、痛み止めの注射を打ち、薬の処方箋を出してくれました。
「1ヶ月ぐらいしたら歩けるようになるでしょう」とのこと。
よかった、ほんとによかった。もう歩けなくなるかと思った。

帰りの車で。

私「よかったね。早く手当てしたからよかったんだね。そのままにしてたら曲がったまま固まっちゃったんだよきっと。」
トゥトゥール「ぼくも子どものとき骨を折ったことがあるからどんなに痛いかわかるんだ。でもタイガーは痛くてもしゃべれないからね。10年生のとき弟と追いかけっこしてて転んで腕を折って、すごく痛かった。手術したけど今でも完全にまっすぐにならないんだ。あのときはもう全身具合が悪くなって、指も丸まったまま何ヶ月も伸ばせなかった。」
私「病院で手術したの?それすぐに手術してなかったら大変だったね」
トゥトゥール「村の人たちはコビラージュ(まじない師)に見せろって言ったんだけど父が“うちの息子は絶対医者に見てもらうんだ”って言って必死になってクルナの病院に連れて行ったんだ。そこで手術したんだよ。」
私「いいお父さんでよかったね...すぐ病院に連れてってもらえて」

バングラデシュでは手足に障がいを持った人が本当にたくさんいます。生まれつきの人ももちろんいますが、簡単な骨折などの手当てをきちんとしなかったために手足が曲がったままになってしまうようなケースも多いのです。

農村で生まれ育ったトゥトゥールも、お父さんがもし医者でなくまじない師に見せていたら今頃片腕が動かなかったかもしれません。

車に轢かれた哀れなタイガー。3日目の今も起き上がれません。痛みが強いようで、ごはんもろくに食べません。でも手当てを受けられただけ、この国のたくさんの不運な人たちより、幸運な犬かもしれません。

(2006年2月15日)

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