|
報告:シャプラニール評議員 長畑誠氏

2003年3月6日(木)、バングラデシュの首都ダッカにおいて、「マイクロファイナンスに関するODA・NGO合同ワークショップ」が開催されました。これは(特定非営利活動法人)シャプラニール=市民による海外協力の会と国際協力銀行(JBIC)が共催で行ったもので、1.シャプラニールがJBICの委託を受けて実施した「農村開発信用事業(グラミン銀行)」事後評価調査の結果を発表する、2.バングラデシュにおけるマイクロファイナンス活動の現状と課題を共有する、3.マイクロファイナンス・セクターに対する日本のODA支援の役割を検討する、という3点を目的としています。ワークショップには、マイクロファイナンスに取り組むバングラデシュのNGO(24団体)、日本のODA関係者(大使館、JBIC、JICA)、日本のNGO(3団体)、バングラデシュ政府関係者、国際機関(UNDP、ADB、FAO)等から、あわせて60名が参加し、朝9時から夕方5時まで活発な話し合いが行われました。シャプラニールから白幡ダッカ事務所長、藤崎駐在員およびダッカ事務所職員、小松カトマンズ事務所長が参加するとともに、東京からはグラミン銀行事後評価調査を担当したシャプラニール評議員の長畑が加わりました。
ワークショップでは、まずバングラデシュでマイクロファイナンスに取り組むNGOのネットワークであるCDF(Credit and Development
Forum)のアブドゥル・ブイヤン専務理事から、当地におけるマイクロファイナンス活動の全体像とその課題につき、包括的な問題提起がなされました。次にJBICによるグラミン銀行に対する円借款プロジェクトの第三者評価を担当した長畑氏から評価結果の報告が行われ、グラミン銀行のムザンメル・ホック・ジェネラルマネージャーによるコメントが発表されました。さらにバングラデシュ中央銀行のコンドカル・ムジャルル・ホック専務理事により、マイクロファイナンス事業に対する規制監督について政府の検討内容が紹介されました。これら午前中の報告を受けて、午後は「マイクロファイナンスを貧困削減に効果的に結びつける方法(分科会1)」と「マイクロファイナンス機関の財政的自立・持続性を強化する方法(分科会2)」という二つのグループに分かれ、活発な話し合いがなされました。最後の全体会では分科会の報告とともに、日本のODAが果たすべき役割についても意見が出されました。
分科会1で出された意見としては、「最も貧しい人々や遠隔地の人々に対して、マイクロファイナンス活動はまだ十分に届いていない」「貧困削減の視点からは、融資だけでなくエンパワメントに向けた総合的なアプローチが必要だ」「エンパワメントを測る客観的な基準をどう作るか」「活動のオーバーラッピングを避けるため、NGO間やドナー間の調整が必要」等が挙げられます。一方、分科会2では、「マイクロファイナンス機関の財政的自立のためには、貯蓄動員や国内での資金借入れを強化する必要」「コストダウンや効率的な運営のノウハウを学び、戦略的計画をたてるべき」「マイクロファイナンスの規制監督は受益者の立場を重視し、政府から独立した機関によって行われることが望ましい」「最貧困層への金融サービスで財政的な自立は困難」といった意見が出されました。
現地NGOからの日本のODAに対する要望としては、「人的資源開発にもっと重点を置くべき」「マイクロファイナンス支援と教育や保健セクター支援とを組み合わせる包括的なアプローチを考えてほしい」「マイクロファイナンス・セクター全体の健全な成長を通じた零細企業振興を目指すべき」といった意見が出されるとともに、今後の支援への期待が表明されました。また東京から参加したJBICフィードバック委員・池上清子氏(UNFPA東京事務所長)からは「マイクロファイナンスが貧困層のエンパワメントにどれだけ貢献しているのかを測る客観的な指標の必要性」「評価を現地住民や実施機関に対してフィードバックすることの重要性」が指摘されました。
最後に主催者側から、今回のワークショップで行われた有意義な話し合いを、バングラデシュに限らず日本のODA支援に活かしていきたいとの考えが表明されました。そして今後ともマイクロファイナンスに関わるさまざまなアクターが、継続して貧困削減に取り組んでいく必要性を参加者全員が確認して、ワークショップは閉会となりました。
(シャプラニール評議員 長畑誠)
|