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前ダッカ駐在員 中森あゆみ 2005年12月24日追加
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オポロジェヨ・バングラデシュと共にストリートチルドレン支援事業をはじめて5年。2度目の3カ年計画が2005年度をもって終了します。そこで今回更なる飛躍を目指して、子どもたち、地域の人、スタッフと共に事業評価を行いました。今回はこの3年間の大きな変化である24時間シェルター、給食プログラム、技術訓練を通じて見える子どもたちの姿を10月に帰任したばかりの中森がお伝えします。 |
安全な場所、安全な食事〜24時間シェルターと給食プログラム〜

夕方5時はミルクの時間
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子ども銀行:安心してお金を預けられることも子どもたちには重要
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子ども議会では「普通」の学校に通う子どもたち
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今日も仕事に行ってきます!
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私たちのプロジェクトは、路上で暮らす子どものなかでも最も厳しい状況にある単身で路上に暮らす子ども、つまり「Children
Of the Street」を主な対象にしてきた。イクバル(仮名、11歳、男)はこうした子どものうちの一人で、ドロップイン・センター(以下DIC)には2年住んでいる。お父さんは田舎の畑でトラクターを運転する仕事をしていたけれど、病気で死んでから大変だった。父方の親戚が母さんと僕を怒鳴ったり殴ったりの嫌がらせするようになった。父さんの残してくれたわずかな土地は叔父さんに名義を変えられて騙し取られた。ある日、その親戚の一人が知らないおじさんを連れてきて一緒にダッカに行くように言った。船でダッカに着くとその知らないおじさんは「坊主、どこでも好きなところへ行っていいぞ」って言っていなくなっちゃった。それでぼくは着いたショドルガット(注:ダッカの巨大なフェリー・ターミナル)からバスに乗ってジャットラバリ(注:DICの所在地)へ着いた。すごくお腹がすいていて、誰にもなにも言えず泣き出しちゃったけど、その時から路上で暮らすようになった。
安全な居場所、寝る場所
こうした単身で過ごしている子どもたちにとっては、まず安全で、安心して過ごせる場所がとても大切だ。DICの24時間シェルターは実はバングラデシュではそう多くない試みで、その分子どもたちの喜びは大きい。表1はこの評価で子どもたちに好きなプログラムの順位をつけてもらった結果(注1)だが特に単身の子どもたちの圧倒的な支持を得ていることはここからもわかる。路上では色々な大人が嫌がらせをする。警察官が逮捕するぞと脅し僅かな金をせびる。「夜勤の守衛に犯された」と話してくれたのは10歳の男の子だった。「センターに来るまで、眠れたことがなかったんだ。怖くて安心できないよ」「やっと男の人に襲われないって安心できたの」と語る。ここでシャワーやトイレも安心して使えることも嬉しい。
清潔で栄養もある、楽しい給食
給食プログラムでは、従来のキッチンスペースも残しながら、3食10タカ(約17円)程度での食事を提供している。実は従来の子どもたちどうしで仲良く分け合う様子が印象深く、また容易なサービス提供の形が子どもの「依存心」を高めるのではと、導入を急ぐことにやや疑問を感じていたが、実際子どもたちの声を改めて聞くと清潔な食事の必要性は想像以上に高かった。小さな子どもは当然「料理なんてできない」のであり、ここに来れば「色々な種類のきれいな野菜が食べられるの」だ。だから「食べた分はちゃんと払うのが当たり前」と口を揃える。路上の食事は安価でも手に入るが、決して衛生的とは言えないものも多い。また従来のシステムでは「前はここに食材を持ってこなくちゃいけなかったから、何もないときには魚を盗んでいたの」だ。「でもそれがやめられてすごく嬉しい」と小さな心をどれほどに痛めていたことか。食べ物の分け方を巡っての「友達との喧嘩も嫌だった」。だから「みんなで並んで食べられることが家族みたいだから好き」というコメントは子どもたちの心の成長に何が必要か改めて問われる思いだ。何より子どもにとって、栄養のバランスのとれた食事に必要な知識や食材を調達するハードルの高さを今更思い知る。
こうした支援が実を結び、DICでは「Children Of the Street」の占める割合は徐々に増加している。例えば出席率で言えば2001年には11%程度であったのが2004年には53%になっている。一方ストリートスクール(以下スクール)はなんと80%の子どもが、親と一緒にスラム等に住みながら一日のほとんどを路上で過ごす子ども、つまり「Children
On the Street」の子どもたちであることも見逃せなくなっている。
サルマ(仮名、12歳、女)は父親を小さい頃になくしているので名前くらいしか覚えていない。父親が死んだ後母親は再婚し弟が2人できた。しかし結局その再婚相手も母親の金、貴金属を持って逃げ、兄は嫌になって家を出る。その間、母親に言われて使用人になった。けれども4、5日で辞めた。食事と着る物はもらえるけれど給料は一切もらえないからだ。母親は娘を連れ戻し、今度は物乞いして日銭を稼ぐように言いつけた。
家にお金を
「Children On the Street」の場合、サルマのように親が再婚をした場合に「連れ子」となる子どもが外に出されるのは今回の聞き取りでも非常に多く、もはや典型と言ってよい。「食べるものがないと外で働いて来いっていわれるんだ」という不定期な場合もあれば、サルマのように365日外に出される場合もある。あるいはNGOのマイクロ・クレジットの週決め返済を子どもの収入から充てるという家庭の子もおり、「だからお金を持って帰らないと家にいれてもらえないこともある」という。親と同居している子どもたちにとってはこの家庭でのプレッシャーが彼/彼女らを最も脅かし、また必要な保護や教育から遠ざける要因だった。従って子どもがこうしたセンターに寄ることは収入に差し障るので親からは大層嫌がられる。だから子どもたちは色々な嘘を上手につきながら通っている。「今日は大きい子に拾った屑をとられちゃったんだ、とかね」。スクールは授業が一回2時間で完結するから、この子どもたちにはちょうどよい。ちょっとだけ寄って仕事に戻る。
給食の時間に
給食について、実は私個人がためらっていた理由にはもう一つある。それはDICに昼時に行くと、みんなの食事の輪から離れて食べられずにいる子が必ず数人いたからだ。その度声をかけていたが今一つ状況がわからなかった。しかし今回改めて話をよく聞いてみると、なるほど親と住む子どもたちはその稼ぎをほとんど一銭も自分のために使えないほど厳しく、家族に渡しているということが分かった。つまり昼時に外れていたのはこの「Children
On the Street」だったのだ。親にすべてのお金を渡さなければならず、許可がなければ使ってはいけないと子どもたちが強く受けとめている様子が見て取れた。こうした中で、今までの「Children
Of the Street」と少しずつ状況の違う子どもたちにも、どうしたら安心と安全を叶えてあげられるか。チームのスタッフと改めて「Children
On the Street」への取り組みについてチャレンジしていきたいことを確認しあった。
今の仕事のこと、将来のこと〜技術訓練プログラム〜
この状況から抜け出したい

ミシン研修。壁紙をつくる
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運動会。アンパン食い競争ならぬケーキ食い競争。
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マスッド(仮名、13歳、男)は屑拾いをして金を稼ぐ。友達と一緒の時は働くのも楽しくて好きだ。でも拾った屑を盗んで捕まったときには悲しかった。周りの大人みんなによってたかって結構めちゃくちゃに殴られた。時々はバスターミナルの「政治リーダー」の下で小間遣いをすることもある。でも結局1日1回、よければ2回食べさせてもらえるくらいだ。で、言われたことをちゃんとできないと言ってはやっぱり怒鳴られて殴られる。友達とDICやスクールに来るようになってからはバスの停留所で日雇いの仕事をしたりもしたけど、支払いはやっぱりごまかされることもよくあった。でも突っかかってもまた怒鳴られ殴られ終わりだ。
子どもたちの中で、今の仕事が好きな子は一人もいない、ということを改めてはっきり書いておきたいと思う。そして同時に、子どもたちのほぼ全員が「この状況から抜け出すには勉強をすることがとても大切だ」と考えている。表1でも幅広い子どもたちの支持を得ていることからもわかるだろう。技術訓練はこうした点で期待されていたプログラムだ。サルマもDICで縫製のトレーニングを受けている。更に女の子や小さな子どもがセンター内で仕事ができるようにとコミュニティ主導で始められた紙袋(注2)を作る作業にも参加して一日5〜10タカ稼ぐ。そしてDICの紹介してくれた別のNGOの学校に3年生で編入した。イスラム(仮名、14歳、男)も「何か手に職をつけて『ちゃんとした仕事』につきたい」と思っている。だからDICでの看板書きの研修にはDICのマネージャーに直接お願いして参加させてもらった。週3回の授業はすごく楽しい。だけどまだまだ足りないとも思っている。看板には字を上手に書か【ないといけないのに、勉強したことがないからうまくできない。内容が難しいと感じることもある。なにより仕事もあるし、週3回ちゃんと通えないことだってある。「もっと勉強しないと。もしちゃんと新聞が読めたら、絶対看板の字もうまく書けるんだけどなぁ」
こうした子どもたちの将来に明るい希望が見えるように、今後目指すべきは各種教育・研修の対象、目的を改めて明確にすること。評価チームはまず(1)エンパワーメントの意味での簡単な読み書き、(2)外の危険からの保護としての、女の子や幼い子のための紙袋作り、そして(3)職業訓練としての技術訓練と学校への編入の三つに分類して整理することにした。特に技術訓練は対象となる子どもを絞りきれずにイスラムのように終わるケースが多かったため、従来のものも年齢層の低い子どもの基礎教育の一環としておくものの、年齢の高いものにはより明確に「将来を変える」結果を促すものをコミュニティと連携しながら改めて見直していきたいと考えている。また同時に、きちんとした学力をつけるため、また将来の可能性を広げるためにも学校への編入も更に進めていく。幸いコミュニティの理解も進み編入する子どもの受け皿が広がってきた。どうか子どもたちに幸せな未来が訪れるように、引き続き皆さんの応援をよろしくお願いします。
- (注1)よりよく子どもたちのニーズを知るための切り口の一つなので方法や結果は必ずしも「正確」ではないがある一定の傾向は読み取ることができる。
- (注2)新聞紙等を使って作る紙袋はバングラデシュでは買い物の際に日常的に使われる。
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